SSR

おいも
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入院している。何度か入院を経験したが、今回はなかなか当たりの病院だ。比較的新しい施設なのでどこもかしこも設備が綺麗な上、さまざまな部分が合理化されている。タオルや入院着は何枚でも自由に使うことができ、ボックスティッシュや使い捨ておしぼり、歯ブラシと歯磨き粉も各自支給される。洗面用のコップと食事用のコップはオフィスによくある使い捨てプラカップが用意してあり、清潔に使える。おかげで持ち込みの荷物はかなり減らすことができた。飲み物は給茶機があり、ほうじ茶やルイボスティーなどの各種お茶と冷水、お湯が自由にもらえる。紅茶をアホほど持ってきたのでティータイムし放題だ。私が入った階は産婦人科と共有らしく近くに新生児室があるので、時折新生児の泣き声が聞こえてくる。通りがかった時にカーテンが開いていると、コットに寝かされた新生児の姿を拝むこともできる。新生児の「おぎゃあおぎゃあ」という泣き方は本当にその時期だけのものなので、うるさいなどと言うことはまったくなく、むしろ心地よい。以前入院していた病院では同室のお婆さんが昼夜を問わず般若心経を唱えていたが、死の香り色濃く漂う老婆のお経より、命の躍動を感じさせる赤子の泣き声の方が百倍良い。という感じで入院生活を満喫していたが、午後の診察でにとりささみが描くうさぎ先生に似た女医が「前回の手術の所見に、"通常の病態とは違う"というようなことが書かれていますね」と呟いた。初耳だが?重要な情報では?と思ったが黙っていた。また、「まれに麻痺などの後遺症が残ることもあります」と説明されたが、前回の手術でそのまれな後遺症が発生しており、患部は痺れて感覚を失ったままだ。別の病気で手術をした際も「この手術を受けた人の百人に一人程度」が起こすという強烈な再出血に見舞われ、止血のために熱した金属棒のようなもので患部をジュウジュウ焼かれるという地獄の獄卒がするタイプの処置を受けたことを思い出した。病気ガチャでSSRを引くタイプなのかもしれない。この処置は局所麻酔なため意識がはっきりした状態でジュウジュウ焼かれる(煙も出る)のだが、まったく上手くいっていなく医師が苦戦している様子がありありと伝わってきて絶望した。それほど痛くはないのだが、とにかく苦しい。肉が焦げる匂いも不快。処置されているあいだずっと涙を流していた。よくBL小説で「生理的な涙」という表現があるが、熱した金属棒で傷口を焼かれるぐらいのことをされなければ生理的な涙を流すことはないと知った。いくらなんでも攻めのちんちんに熱した金属棒ほどの殺傷力はないと思うし、そこまでのことをセックス中にしてくる攻めは嫌だ。とはいえ受けの涙は至高なので、生理に由来しない涙をぜひとも流してほしい。