生まれて初めて、ミニシアターで気絶した話。

おいなり
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 ほんとに何が起きたのかはわかりませんが、後々自分の記録になると思うので、ここに記すことにしました。

 祝日、今日はお休みの日でした。前々から気になっていた映画の再上映があると聞いて、お昼前に電車に乗り継ぎミニシアターに行きました。ミニシアターに行く前に途中下車してお買い物をして、また電車に乗ってミニシアターのチケットを買い、上映までにお昼を済ませました。

 ここまで特に、身体の不調はありませんでした。久しぶりに朝ゆっくり寝て、朝御飯も軽く食べて、お昼も別にハイカロリーなものを食べたわけでもないです。激しい運動もしてないし、駅まではゆっくり歩いてきました。この日は不安なこともあんまりなくて、とにかくお休みを楽しもうと思ってたんです。GWだからってのもあり、ミニシアターにしては人がちょっと多かったけど、人が多くて嫌ってこともなかったです。暑かったので持ち歩いていたお水をこまめに摂取し、急に寒くなっても平気なように、上着を羽織ってお出かけしました。

 ところで今回観に行こうとした作品ですが、事前に「この作品は年齢制限があります」という記載がありました。私、性的な描写は全然問題なく見れるのですが、グロテスクなのがあんまり得意ではありません。が、以前別の作品で年齢制限があったものを、難なく見ることが出来ました。今回はあらかじめWikipediaであらすじを把握し、心の準備をしてから映画に望んだわけです。余談ですが私、年齢制限が無くてもショッキングな場面に弱いので、たまに全年齢映画でも「いやっ!!!」ってなることがあります。ちいかわかな?(?)

 もしなんか駄目だったら、途中で出ていこう。そのくらいの気持ちで、椅子に深くもたれながら、比較的リラックスして上映時間を迎えました。開始早々不穏な要素が広がり、なんか新鮮な臓器をぺちぺちしてるおじちゃんとかがいて、ここのシーンモノクロでよかった~みたいなことを思ってました。

 冒頭がモノクロだったので、なんとなく行けそうな予感はしてました。そしてすぐ、恐らく主人公が登場し、ヒロインが結構ヤンチャしてるシーンがやってきました。お皿割ってるヒロインちゃんと知り合いになった主人公。ここまでは問題なく見れました。そんなときです。

「え? このヒロインちゃん裸足じゃね?」

 ……という、割りとどうでもよいことに気づきました。ルンルンで廊下を歩くヒロインちゃん、まさかの裸足。しかも隣の部屋には、自分が割ったお皿の破片が散らばっています。踏むと絶対痛い。

 ここまでのことを瞬時に予想した私、急に血の気が引いていく感覚に襲われました。私、女の子がハチャメチャにいたがりながら血を流す描写が、あんまり得意ではないのです。この後なんかグロテスクな描写が待ってるけど、大丈夫なのかちょっと不安になりました。とはいえまだ序盤なので、少しリラックスしょう。そのためにはちょっと視界を遮断しよう。そう思って、己の視界を手で覆いました。

 そしたらなんとまぁ、字幕映画だったのにめちゃくちゃ日本語が聞こえる。左右からひっきりなしに「大丈夫ですか?!」というお姉さんの声が聞こえた直後、私は気づきました。あれ? なんか視界暗くね? 映画館だから暗いのはしゃあないけど、スクリーン無くね? てか、私何してたんだっけ。

 己の状況が全くわかっていない私、最初は自分が声をかけられてるかとに気づきませんでした。そしてなんか視線を動かすと、己の眼鏡が折れた状態で落ちていることに気づきました。

 眼鏡何事?! その直後、右肩が異様に痛いことに気づきました。そして上映中にも関わらず、隣のお姉さんが懸命に声をかけてくれていることをようやく理解しました。

 自分、椅子にもたれてたはずなのに、前のめりで倒れていたみたいです。マジで記憶無い。それから左右の人たちに声をかけてもらい、私は咄嗟に、今ここから出ていかないといけない予感を察知しました。

 上映開始から二十五分ほどの出来事だったらしいです。ふらつきながらシアタールームを出て、状況を整理するためにその場でしゃがみました。動揺のあまりだいぶふらつきながら出てきたものなので、騒ぎをききつけたスタッフのお兄さんに椅子を借りて、お水を頂きました。

 とりあえず視界を元に戻すために、お兄さんに頼んで、折れた眼鏡を止めるためのシールをいただきました。救急車呼ぶかどうかも聞かれたけど、気は動転しつつも割りと冷静に受け答え出来たので、それは断った。外の空気を吸ったら、治る予感がしたので。その代わり映画の続きを見るのは諦めました。

 お兄さんがチケット代の払い戻しをしてくれたので、めちゃくちゃ謝罪したところ「元気になったらまたきてね」と言われました。お兄さんほんとにありがとう。その後歩いて駅に戻って、電車に乗って帰宅を試みました。

 ふと、これって何だったのかをスマホで調べたところ、失神、または気絶に該当するそうです。軽傷でも医師に見てもらえと書いてあったので、地元の病院まで超スローな足取りで向かい、外来受けつけのお姉さんに全てを説明しました。

 血圧と心電図を見てもらった結果、深刻な病気とかではなく、一時的なものだったそうです。迷走神経が働いたとか何とかで、映画でショッキングなシーンを見た際に体が勝手に自己防衛したそうです。気絶したのはそれが理由らしい。

 この後おうちまで超スローで歩いて帰り、帰宅後に痛みのある右肩をチェックしました。右肩、たんこぶできてて絶句しました。今もめちゃめちゃ痛い。

 家族には眼鏡が壊れたことのみ説明し、それから身内の運転でお買い物に連れていってもらいました。映画館を出てから最初はほんとに動揺してたけど、次第にちゃんとまっすぐ歩けた上に、受け答えも不自然ではなく、帰ってから飲んだお茶もおいしく感じました。まだ二十四時間も経過してませんが、なんとかいつも通り過ごせています。

 ここで学んだことは、不安要素が一個でもあるやつには、意地で挑むと詰むということです。今回一人でお出かけしたのですが、これが人のいるところで倒れたからよかったものの、人が居ないところで倒れてたら、今以上に大変なことになっていたと思います。不安要素があるやつは、絶対に一人で行かないでください。特に今回、私は地元からそこそこ離れたところまで行ったので、出来ることなら行き先を人に伝えたほうが良いです。

 あとこれはライフハックなのですが、PayPayとか交通系のカードにはあらかじめ多めにチャージしてからお出かけしてください。私、手持ちの現金がかつかつな状態で出掛けたので、PayPayにチャージしていなければ、今頃外来の会計で詰んでたと思います。今回私は一時的なものだったので、祝日の夕方の外来+心電図の検査+保険証提示で三千円程度のお会計でした。ご参考までに。

 苦手なコンテンツって割りとその辺にゴロゴロ転がってるので、防げるものは防ぎ、回避出来るのなら回避してください。今回の私、いわば好奇心に殺された猫みたいなもんです。自業自得。無理して挑んで気絶すると、下手したら事故ります。人に迷惑がかかります。私みたいにならないで欲しい、頼みます。

 あの時声かけてくれた皆さん、ほんとにごめんなさい。そしてありがとうございます。多分同じ列の人にはびっくりさせたし、前のほうの人にも迷惑かけたかも。ほんとにごめんなさい。でも皆さんが声をかけてくださったので、私は意識取り戻して、今家にいます。お兄さんもお水ありがとうございます。近いうちにお礼をこめて、また別の映画観に行きます。

 そして、GWは楽しみがいっぱいだけど、もしかしたら無理してる人も街中にたくさんいると思います。もし困ってる人を見かけた場合は、助けてあげてください。私もそうします。

 以上、GWの頭に、予期せぬことが起きたという話でした。

@oinari2440
気持ちの落ち込みと皮膚の痒みに立ち向かいがち。