映画『ウィッシュ』感想(ネタバレあり・観た人向け)

okayu1202
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総評:ディズニー好きとしては感謝の100点満点だが、一映画としては普通の面白さ。

 とにかく「過去作品の自己オマージュ」の嵐すぎて、観ている間は隠れミッキーを探すかのごとくそれらを探すのに必死になってしまった。こういうのに気づきづらい鈍感な私でも分かるくらいのオマージュが散りばめられていて(散りばめられているというか、敷き詰められているというか、、、)劇場で何回叫びそうになったかわからない。幼少期にディズニーをしこたま見せてくれた親に大感謝した。(というか、本編上映前の特別映像の時点で「今からこの子達でてくるからちゃんと意識してね^^」っていうメッセージだったのかしら、、、とも思ったり)

 ストーリーの内容としてはこれまでディズニーが大事にしてきたものの復習といった感じで、普通の面白さだった(「願いって大事だよね☆」ってこと、ディズニーの礎を築いた『白雪姫』『ピノキオ』の再放送ですね)。特に新たに気づかされたことがあったわけじゃないけど、普遍的なテーマをわかりやすく描写されているなといった具合で、それはそれでよかったと思う。

 歌と吹替版のキャスティングがよかったなあ~福山雅治をマグニフィコにあてた人はとてもえらい。いくちゃんも歌上手だったね。

〇マグニフィコ王は本当に「賢王」なのか

 感想を検索してみると「別にマグニフィコ悪くなくね?むしろとてもいい王様なのでは?」という意見を結構見かけるけど、私はこれには結構否定的。そういったマグニフィコ擁護派の趣旨としては「(劇中でもマグニフィコが言ってたけど)そもそも民は自分の願いをかなえてもらうことしか考えていなくて身勝手だ。マグニフィコはそんな民のために願いを叶えてあげてて本当にえらい」といった感じ。

 でも、そんな国にしてしまったのは他でもないマグニフィコなんだよな~。そもそも他人の願いを誰かが代わりに叶えてあげるっていう発想からして違くて。マグニフィコがすべきだったのは、劇中終盤で女王(元王妃)がやっていたように願いを叶える”手助け”だったのであって(あのシーンよかったですよね、誰かの願いと誰かの願いを繋げてより可能性を広げていく感じ)、決して願いを集めて、その願いの有用性ないしは危険性を吟味して、叶える/叶えないを判断するようなことではなかった。

 「願い」というのは、心中に思い浮かべている限りはどんな「願い」を持っていてもいいし、「願い」を叶えるかどうかを判断するのも自分次第、「願い」をかなえるために行動するかどうかも自分次第、叶うかどうかではなく、「願い」とどう向き合ってきたかにその人の選択や価値観が内包されているので、それらを他人に預けてはいけないのだ。生殺与奪の権を他人に握らせてはいけない。

 まあだからこそ、国民に対して「他人に全部任せてたくせに手のひらを返したかのように反旗を翻しやがって」という批判も起こりうるんだけど、そもそも他人の「願い」を採取しようとすな~というのが私の意見ですね。だって自分だったら「超偉大な魔法使いが俺たちの願い無償で叶えてくれるらしいぜ!」っていう話を聞いたら二つ返事で願いを差し出すと思うし。人間ってそんなもんやで。

 とはいえ私もマグニフィコが性癖に刺さってしまっているオタクの1人だ。なんといっても終盤のヴィランしぐさが完璧すぎる。乱れた前髪も超絶Sexy………。やっぱりディズニーのヴィランは最高だぜ。

 他にも言いたいことはあるけど、今回はここまで。

 久しぶりに映画館に行ったけど、なんやかんや楽しいな、映画館………

(おわり)