本屋さんに行った。当然のことながら沢山の本が並んでいる。この大型本屋には、大ヒット作を並べた棚から、聞いたことのない学問のラベルを付けた棚までが揃っていて、飽きることがない。ずらりと平置きにされている本もあれば、本棚にぎゅうぎゅうと詰められている本もある。知ってる作者や著者はほんの一握りで、読んだことのある本はそれよりずっと少ない。流行りの本、面白そうな本、あまり興味を惹かない本、難しげな本、ちょっと怪しげな本。本がたくさんある、楽しい。オープンワールドのゲームのマップに飛び出したみたいな気持ちになる、幾つになってもワクワクする。選り取り見取りの中から、探したり出会ったり選び取るのが面白い。即決も悩んで買うのもやめるのも、全てが楽しい。
体力の限界と相談しながら探索を続けていると、ふと思った。本屋に並んでいる本たちは、読むに値する文章としてのお墨付きをもらってこの世に送り出されているんだ、と。それがこんなにも沢山あるのに、私のような素人の書いた文章を読んでくれる人がこの世にいるって、これは凄い奇跡みたいなことなんじゃないか？という想いが胸の中で一気に膨らんだ。
読んで面白い文章は世の中に星の数ほどあるだろうし、本屋に行けば輝く一等星級の素敵な文が綴られた本が選び放題なのに。どうして私の書いた文章を読んでくれたんだろう、嬉しいな、ありがたいな。
そんな温かな気持ちを胸の中に灯したまま、選び取った本をレジに持って行き、カバンの中で折れてしまわないように丁寧に仕舞い込んで、私は帰路に着いた。
(この時の気持ちを箱にそっと取り分けて留めておきたくなったので、この文章を書きました。読んでくれて本当にありがとう！)