私の生まれは京都である。
1988年3月1日、京都市北区某所の、少し歩いたらすぐ山という場所で生まれ育った。鹿も猿も出た。熊は出なかったと思う。
京都市は観光された方ならわかると思うが、典型的な盆地である。金閣寺、龍安寺、嵐山、銀閣寺、清水寺。だいたいの有名どころは東西の山沿いだ。
私は山が好きだ。特に、少し眺めると目に入る緑が好きだ。東京都内はびっくりするほどこれがない。求めなくても景色に緑が含まれる京都とは大きな違いを感じる。そして新幹線で京都に着いた時の故郷の空気は、この山に囲まれていることによると感じる。
よく京都人はいけずであるという。いわゆる「ぶぶ漬けどうどすか」のあれだ。あれはかなり誇張が入っておりただのファンタジーなのだが、とはいえ両親揃って3代続くような京都の家の子だとクセは強かったと思う。
うちは母が京都の生まれだが、母方の祖父母は他県の生まれだし、父は京都の生まれではない。ということもあって、会話が京都弁なのはそうだが、いわゆる揶揄されるような「京都人らしい性格」には沿っていないものと感じる。
いま思えば、京都の生まれというのは何かとよかった。ほどよくのどかで、ほどよく都会。何より京都駅にはのぞみが止まる。これもあって、大阪も東京も身近に感じられるというのは、立地としてとても恵まれていたのだなと今になってわかる。
自分の過去の話をするにあたって絶対に無視できない出身地の話。ここから関西、東京へと活動の場を広げていったのである。