煮込めばうまい

okunokentaro
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冷蔵庫の野菜室の中身がじゃがいもと大根と生姜という、なんとも寂しい事態に。

これを出汁で煮てしまえば手軽に煮物はできるが、ここ最近の自炊は和風に傾倒していたため流れを変えたい。ポトフのインスピレーションを借りよう。

とはいえ玉ねぎが不在、にんじんも不在、キャベツも不在、きのこ類も不在となれば大幅な戦力不足が懸念される。洋風のスープや煮込み料理は旨みをどう確保していくかが重要だ。ここを逃すとただの「塩味がする加熱された食材」に成り果てる。醤油とみりんを入れておけばなんとかなる和食とはここが異なる。

戦略は決まった。ここにあるじゃがいもと大根から旨みを存分に引き出してやりたい。

煮込み鍋にオリーブオイル、具材がちょい浸るくらいの量。そこにニンニク、ホクホク感を出したいのでスライスしたり刻んだりせず、ひとかけを半分や三等分程度にして。油で揚げ焼きするイメージ。

豚こまを100g加える。ソーセージやベーコンもいないのか我が軍は…そう嘆きながら豚こまに動物性の旨みを最大限提供してもらおう。ややいい感じの焼き目が付いてきたら岩塩、そしてハーブソルト。ソーセージやベーコンの塩味を意識して、ここはやや塩辛いくらいでいい。あとで帳尻が合う。

肉が炒まったら皿に逃す。そして残ったいい感じの油に、生姜スライスを数枚。薄めに切り、軽く揚げるイメージで。火は中火。

そこに適度な大きさにカットしたじゃがいも。品種はぽろしりだ、煮崩れにとにかく強い。このじゃがいもを、カット断面にいい感じの焦げ目が付き始めるまで炒める。

続いて大根。これはサイコロ大に切っておけばよい。あまり大きくても取り回しが効かないので、一口大やや小さめくらいで。この大根も鍋底に残ったオリーブオイルでしっかり炒める。火が通ると透き通り始め、平らな面にほんのりと焼き色が付き始める。大根の焦げ始める辺りから、生から茹でる時とは異なる旨みが出てくるのだ。この炒め工程が旨み確保に重要。

全体がほんのり色付き、香ばしい匂いが立ち込めてきたら満遍なく岩塩。まだ水などを加えず、蓋をして弱火へ。ここからは大根の水分を頼りに蒸し焼きにしていく。5分くらいで一度ざっくり混ぜつつプラス5分、弱火でじわじわと。

さらにいい香りがしてくるので、ここでローリエ1枚を加え、炒めた豚こまを戻す。さらにトマトペーストをほんの少しだけ。トマトペーストとトマトソースは全くの別物だ。トマトペーストは旨みをお手軽に足せる洋風料理の心強い戦力である。

白ワインをざっと注ぎ、鍋底にこびりついた焦げを落とす。これは旨みの塊だ。そして全体よく混ざったら、具材の全てが浸る程度の水。最後に冷蔵庫の端で放置されていた6Pチーズの最後の1Pを投入。

ここから中火で5分。ぐつぐつしたら一度味見。足りないようであれば岩塩、お好みでハーブソルト。そしてまた蓋をしてさらに10分。

完成だ。じゃがいもがいい感じで水を吸い、やや嵩が減った状態はとてもいい具合だ。盛り付けてパセリを散らし、仕上げにブラックペッパー。

大根を使う時点で本場ヨーロッパからは離れるのだが、どことなくポトフのような、ボルシチのような、じわっとくる温かい味わい。世界中どこでも煮込めばうまいのだ。

今回は粉末コンソメを一度も使わずに、完璧に野菜の旨みを引き出すことに成功した。上出来である。

@okunokentaro
京都生まれで東京在住。様々なWebアプリケーションを開発し続けて10年。すきなものをすきと言っていたい。