王道をいくか 変化球をいくか

okunokentaro
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王将、問答無用でうまい。

今日の餃子の王将は、年季の入った小汚い感じのB級町中華とは大きく異なり、ジャズがBGMの明るいおしゃれな中華レストランといった様相。テーブルが広い王将はそれだけで大幅加点だ。

私のRoutineは決まっている。ジャストサイズの餃子、ジャストサイズの鶏の唐揚げだ。この「ちょっと少ない感」が食後には大いなる満腹をもたらす。大人しくジャストにする。

メインの一皿をどうするか、これは王将の戸をくぐる時から葛藤が始まっている。王道をいくか、変化球をいくか。もちろん何を食べてもうまい。しかし安心感を得たい日や、新鮮な驚きを得たい日があるのだ。

今日は変化球な気分。極王天津麺、いつもなら京風ダレ天津飯に甘えてしまうところを、あえての麺である。ドリンクはもちろんハイボール。店によって微妙にメニューの異なる気がするが、ここではニッカのハイボールが置いてあるようだ。悪くない。

ほどなくして料理が届く。ここで「魔法の粉」を頼んでおくことを忘れてはならない。正式には王将マジックパウダー、店員には魔法の粉で通じる。前は卓上にあった。いつかの醤油吸いの不届きもののせいで卓上調味料が撤去されてしまい、もしかしたら存在を知らない人もいるかもしれない。この魔法の粉なくして鶏の唐揚げは完成しない。

鶏の唐揚げに魔法の粉を何振りかする。ハッピーターンの粉と同じく、謎の中毒性のある調味料だ。王将の鶏の唐揚げは衣がザクザクとした、ケンタッキーで言うクリスピーに近いタイプ。ファンはこれを「エンザーキー」と呼ぶ。これをなくして王将は始まらない。ジューシーで濃厚な鶏肉の旨みを噛み締める。

ハイボールで喉を洗い、餃子に手をつける。小皿に酢、そしてアホほどコショウ。ひとつ目は酢コショウで楽しむ。王将のブラックペッパーは細かいパウダー状で独特の旨みがある。キリリとした旨さだ。二切れ目は餃子のタレにラー油。肉汁の脂に酸味あるタレが絡まった時の高揚感ときたら。もちもちとした皮、弾け出る肉汁、これぞ王将の餃子だ。いつ食べても安心感がある。

極王天津麺、初めて頼むメニューだ。鮮やかなオレンジ色のふわふわ卵焼き、ごま油のコクとスープの旨みを吸って、やさしい、それでいて力強いうまさだ。少しとろみのあるスープは、たまごスープのような溶き卵も入っており、優しい魚介出汁のスープにコクが加わっている。王将の中華麺はバカにしてはならない。つるみの強めな中太麺は、こういった中華系のスープととても相性がよく、つるつるとすすれる。ふわふわの卵焼きに、弾力あるキクラゲとエビが食感を賑やかにする。

ところで、ここのブラックニッカ・クリアハイボールはなかなか贅沢だ。チェーンの外食の割にけっこうな濃さをしており、いい感じになれる。そして鶏の唐揚げを食べ進めつつ、脇のトマト、千切りキャベツにも魔法の粉。なぜかここの付け合わせのパセリだけは食べきってしまう。

あっという間に完食。もう一品いけるかな?くらいでやめておく。次の餃子の王将を楽しみにするためだ。

そして店からの帰路、この幸福を反芻しつつ文章に書き殴る。そんな秋空の夜。

@okunokentaro
京都生まれで東京在住。様々なWebアプリケーションを開発し続けて10年。すきなものをすきと言っていたい。