システム化された回転寿司にて

奥瀬ユウリ
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割と最近であるが、近所にチェーンの回転寿司屋ができた。あまり外食できる場所がないので、私が狂喜乱舞したのはいうまでもない。

休日は混んでいるので、行くのはもっぱら平日である。フリーランスの特有の性質かもしれないが、できる限り人のいない時間帯で好きなことをしがち。

ランチタイムに行くことが多いのだが、この日は初めて夜に行った。もう夕食のピーク時間帯もすぎていたので入り口で待ってる客もいなかった。

この店は、店員が席に案内することはなく、入り口の端末で操作をすると席の番号のレシートが出てくる方式。人数を入力、レシート記載の席に向かう。「テーブル席はガラガラだなぁ」と横目に見ながら、カウンター席エリアに到達。

そこにいたのは、たくさんの仕切りの合間にひしめき合っている一人客たちであった。

(なんか……養鶏場みたい……)

思っていはいけないことを思ってしまった。私よ、せめて競馬のゲートくらいの想像にしておけ。

その後は、異様に席間隔の狭いカウンター席で、中年男性と同年代女性の間に挟まれながら、ひたすら好きなネタを注文しては、自動で席にやってくる寿司を食べ、注文してはシャーっと届く寿司を食べを繰り返していた。だが、寿司を口に運び咀嚼していると、「自動で給餌され頭をコツコツ振りながら鶏が食事している」映像が脳内にチラチラ映り込んくる。もちろん、お寿司は美味しい。寿司は美味しいが、なんだかずっと鶏のことを考えてしまう。

一人客はカウンター、その設定は効率化のためには必要であるし「機械化されると人間の温かみがなくなってウンタラカンタラ」みたいなことを言うつもりもないのだけど(システム化されていることは嫌いなわけではないし)。ただずっと鶏の気持ちに思いを寄せていた、そんな夜だった。

余談だけれど、アプリで予約するとテーブル席が選べることに気がついて、混んでいなさそうな日はテーブルを予約してから行っている。再び鶏の気分を味わいたくなるには、まだ時間がかかりそうなので。

@okuse
グラフィックデザイナー14年目 / 綱渡りフリーランス / デザインの有益な話はほぼない日常の話 / オタク