少し休もうと思って横になったのに気づいたら夜の8時から朝の6時に時間が飛んでいた。
夢の中で昔好きだった人、といっても私が一方的に好きで、だけど多分お互いに気が合うと思っていた(と私が一方的にそう思っていた)人、その人と私が横並びに座ってずっととりとめないことを喋っていた。どこか、空き教室のような場所。木でできた床やら壁やら、とにかくなんとなく茶色っぽい雰囲気の場所。それで時々場面は切り替わって、私はなぜかみんなのいる教室で一人だけ布団で寝ている。放課後なのか休み時間なのか、周りは少し騒がしい。それからさや香の新山と石井が出てきて、新山の方は魔法使いの帽子を被っていて、それを脱いだら髪の毛がまんまそのとんがり帽子の形になっていて戸惑う新山に爆笑していた。
好きだった人。今も好きな人。ずっとずっと昔だから多分今は夢の中の姿とは違うだろう、太っているかもしれないし痩せているかもしれない、皮膚からも声からも、ハリや潤いが減っているかもしれない、それでも多分好きな人。夢の中で喋っていた内容はほとんどわからなくて、でもはっきり覚えているのは私の目の前にあった紙に日付をいくつか書いて、あなたこの日とこの日とこの日、予定しておいてね、というもので、私は目の前で筆記具を走らせる彼の指に唇をつけ、それがカサついていた、感触も覚えていて、そして夢から醒めてからなのか夢の中でなのか、我ながらキッショと冷めていた。
声も顔も覚えているよ。でも寂しかったのは夢の中で書いてくれた字が私の母の筆跡だったのどう見ても。私の知ってる字の形。
たまに偶然一緒に帰れた時があって、電車で隣同士座って喋った内容を今でも反芻する。幸せだった。
今もどこかで幸せに健やかに生きているといいな。最後に会った時は、これが本当の最後だと思わずに、まだ若かったから、また会えるだろうと思っていて連絡先も聞かなかったしちゃんとしたお別れも言わなかった。私だけがずっとずっとずっとずっとずっと、亡霊みたいに。
よるのあと 呪い解いて あげるわ
さよなら