馴染みのカフェレストランにひさびさに入ったところ(馴染みなのになぜ久々なんだよというツッコミはおいて)、店内の内装が若干変わっているように思えた。
食後にセットのドリンクを飲んでいたらオーナーが現れたので挨拶すると、開口一番「地震、大丈夫でしたか?」と尋ねられた。聞けば、このレストランが入っている施設でも相当の被害が出たようで、天井に走っていた配管が破損し、店内が水浸しになってしまったのだという。なるほど、さっき感じた違和感はそのせいだったのか。言われてみれば、たしかに椅子などの調度品が変わっていたり、壁には水が漏れたようなシミもある。
実のところこの店を久々に訪れたのは、先日能登地方への支援チャリティー企画をやっていたと地元ニュースでみかけたからなのだが、まさか自身もそれほどの被害を受けていたとは。さらには、被害があったのは物理的なものばかりでなく、別所にある観光地付属のチェーン店でも予約キャンセルが続いており、営業的なマイナスもかなりのものになるという。
そんな環境にありながら、もっと被害の大きかった能登地方をなんとか支援できないかと、地元の知り合いに声をかけてチャリティーイベントを企画したのだという。自慢のカレーライスを無料で振る舞い、その代わりにひとり最低300円の寄付を募る。主な材料は地元の業者や農家の方々から提供してもらい、調理と配膳は店のスタッフと有志で行ったとのこと。店のスタッフもその日は休日扱いになっていたので、関わった全員がボランティアに参加したことになるというものだったそうだ。
企画した当時はまだ現地ではボランティアの受け入れもなされていない状態であり、そのような状況で現地にいけなくとも何かをしたいという人たちに「きっかけ」を与えてくれたのは大きいと思う。たとえそう思っても、いざ自分から動こうとする人はなかなかいないものだ。
しかしそういう善意の呼びかけにも難癖をつける人というものはどこにでもいるものらしい。SNSでは「店の宣伝だろう」「集まったお金をちゃんと送金するのか」というコメントがついたりもしたそうだ。おそらくは企画によって客足が鈍ることを恐れた同業者からのものであろう。
杉良太郎さんのエピソードを引くまでもない。「それならあなたもおやりになればいい」のである。来週には二回目のチャリティー企画があるという。賛同者からの寄付や物資の供出も相次いでいると聞いた。次は自分も偽善行為に加担してこようと思っている。