数年ぶりに復活したらしい仮想大賞という番組について、合格者にメダルをかける役割のバニーガールが居なくなっていたという話題が界隈で盛り上がっていた。
性的なイメージを想起させるバニーガールは、ウサギそのものが豊穣の象徴であった(ネズミやウサギなどのげっ歯類は肉食動物の主要な餌となるため、生存戦略として世代サイクルが早く、見かけ上の繁殖力が高いからという理由がある)ことから、もちろんそのまま「性的であること」が求められてそのコスチュームになっているのだと思う。性を商品化したりあるいは搾取したりすることについての是非はここでは置くとして、しかしなぜそういった豊穣を表すアイコンがそこに登場するのかという話にもなろう。バニーガールだけではない。格闘技のラウンドガールや、オートレースのレースクイーンも、その根はおそらく同じだろう。
そもそも競技というものが神前の儀礼であったころにその歴史は遡るのではないか。古代において、オトコ(英雄)が死を超えて冥府から持ち出す秘宝とは、魂の復活を促す生命力であった。それは花であり、命を産み出す力であり、女性(乙女)だったのだろう。神前競技の勝利者にその証たる花を手渡す乙女もまた、冥界の豊穣力を表現したものだった。
しかして現代、その精神ははるかの彼方に遠ざかって意味を忘れ去られ、豊かさとは死を超えて異世界から取り出すものではなくなり、自らの知性が生み出すものと解されるようになったのだろう。同時に、女性が性的なイメージをまとうことは、消費の対象として、つまり彼女たちがモノとして扱われていると認識されるようになったのだ。