働きかた

oll_rinkrank
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シーズン用タイヤが摩耗していたので、スタッドレスから換装する際に買い替えることにした。

馴染みの中古車業者にタイヤの取り寄せを予め頼んでおいたので、土曜日に予約していざ行ってみると、スタッフは誰もおらず社長さんがひとりでピット作業中だった。おひとりですか?大変ですね、と声をかけると「働き改革でねえ…」とお疲れの様子。

自分のところもそうなのだが、小規模の事業者はいわば隙間産業で成り立っているところも多い。客先からの発注が長期の展望を持ったものではない(いわゆるスポットでの注文)ことも多々あり、そのため「だけ」に計画的に人員を用意するわけにはいかない。もちろん資金的な体力が大手どころか中小企業よりもさらに弱いのは言うまでもない。ひと時代まえまでは従業員も事業主の家族同様として扱い、忙しいときには休日返上で頑張ってもらう、などという体制で乗り切ってきたのだろうが、労働者の権利保護が進んだ現在にあっては、そういうわけにはいかない。

客先のほうもそのような変化を受け入れ、無理なことは要求しないなどの変化が必要なのだろうが、(中古車業者のメイン客層である)個人の客はもちろん、(自分のところの取引先である)大手の元受け業者のような相手にも、そのような姿勢があるのかどうかは甚だ疑問であると言わざるを得ない。というか、一部の大手企業などは自社の労働者たちの権利を守るために、下請けの企業にそのツケを回しているようなフシさえある。

このような状況が長続きするとは到底思えない。早晩、個人の小規模事業者は労働者と大手産業との板挟みになって、大量の廃業を余儀なくされるだろうことは想像に難くない。

いや、事態はそれだけではない。そういう個人事業者たちの苦境をみた若手の労働者たちは、はたして、自分も城を構え、ひと旗あげようと思い立つだろうか。ならば、ずっと雇用者の立場にあり続け、しっかりと休みをとり、自身「だけ」の生活を守り人生を謳歌しようと思うのではないだろうか。そうなったとき、大手が扱わないヨゴレ仕事をいったい誰が受け持つのだろう。

海外諸国のように、うさんくさいブローカーたちが移民(やあるいは不法移民)の労働者をかき集め、不当な報酬で彼らを従事させるような未来にはなってほしくないなあと、そう思った。