記憶

oll_rinkrank
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ふと思い立って40年ほど前に暮らしていた土地に行ってみた。

あんなに繰り返し行き来した場所だというのに、そしてさほど幼いころの話でもないはずなのに、細部はほとんど覚えておらず、むしろ新鮮にさえ感じた。

ただその当時の印象のカケラがそこにあっただけだった。

振り返れば、子供のころからいつも先のことに何か不安を抱え、憧れや希望に胸躍らせたことなどほんのひとときであったように思う。運や境遇といったものがそうさせた面はもちろんあるのだろうが、もしそうでなかったとしたら、久しぶりの光景も、もっとありありと思い出せ、輝いて見えたのかもしれない。「いま」をちゃんと生きることの重さを感じた小旅行だった。