三週間がすぎ、ようやく風邪の症状が緩和されてきて、日常的に鼻水がでたり痰がからんだり軟便ぎみだったり程度になった。
新型コロナが国内でも流行しだしたときによく言われたのが「普通の風邪とは違う」だった。自分は生来、あまり頑健なほうではないので、昔から風邪をひくと一週間程度はまったく使い物にならず、予後を経てひと月くらいで日常を取り戻すような感じだったのだが、どうやら一般的にはそれが新型コロナの「普通の症状」らしいと知った。つまり多くの方が考えていたような「普通の風邪」とは、「くしゃみ鼻水鼻づまり喉の痛み、あなたの風邪はどこから?」「辛いときにもこの風邪薬を飲んで休まず頑張ろう」という感じなのだろう。そこに虚弱者との認識の齟齬があったというわけだ。病弱な人々にとっては新型コロナの「一般的な症状」を聞いても「それ、ふつうの風邪と何が違うの?」という認識だったのではなかろうか。もちろんそういう人が重篤な症状になった場合には普通の風邪どころではないのだが(自分は過去に「普通の風邪」が悪化して、一か月間、ほぼ寝たきりになったこともある)。
人は往々にして自身を基準にしてしか語れないものではあるが、このパンデミックを経験したことで、虚弱な人たちが普段どういう生活をしているかということにも、幾ばくかの関心を持っていただけたらなあとは思う。この数年の間にさんざん叫ばれた「弱者を守るために」という言葉は、本来そういった危機的状況ではない日常の中でこそ、大きな意味を持つ。