最近、「運命」の友人ができた。
出会ったのは1年以上前で、元々仲は良かった子だ。お互いノリで「いいよ!」というタイプの人間だったから悪ふざけの波長が合う、面白い人間だなと思っていた。
運命のきっかけ
そんな友人とさらに仲を深めるきっかけになったのは、恋愛シュミレーションゲームの「恋と深空」を始めたことがきっかけ。
元々他の人からも勧められていた友人が興味を示したため、私が全力で勧誘した。何を思ったのか恋愛要素以外の素晴らしさを力説して、「話がとても面白いのに謎だらけで、最新話まで読めば解るかと思ったけどさらに謎が増えた。一緒に読もう??」と誘ったらダウンロードしてきた。行動が早い。
毎日の報告
そこからは毎日どこまでストーリーが進んだか報告が来るようになった。そして途中で変な報告が混ざった。
「ホムラ、エビチリしかオススメしてこないんだけど」
ホムラとは私の推しである。紫色のくせっ毛で、恵まれた体格と容姿を持ち、謎に包まれた有名画家というポジションで何故か戦闘もできる訳の分からない男だ。
そんな推しに「今日のご飯は何がいいと思う?」と聞くとエビチリしか返ってこなかったらしい。一応それ以外がいい、と別案を提案させることもできるのだが提案させた上で再度エビチリだったらしい。
もはや亜種。
そんなことになるのは友人のホムラだけだったため、「君のとこのホムラだけだよ」と返している。そこから毎日、今日はエビチリだったよ。エビチリじゃなかったよ。と報告が届くようになった。報告が異質だと思うんだ。(ちなみに3ヶ月近くオススメを毎日聞いてるがかなりの種類があり被ることは少ない)
そんな過程を経て友人にとって私の推しは「おもしれー男」枠になった。
たこ焼き
エビチリがたこ焼きになった。
多分、友人のホムラは偏食なんだと思う。エビチリの次はたこ焼きを良くおすすめしてくるらしい。
そんなことを報告してくるからたこ焼きが食べたくなり、時々食べていた。
そしてある日の夜、銀だこを食べることになりお気に入りの「明太チーズ」味を注文した。そして友人にたこ焼きを食べたよと報告をいれるつもりで家に着くと、通知の鳴るスマホ。
『飲みに来た』
友人からたこ焼きの画像が送られてきた。
2度見である。2度見したら銀だこだった。そんなことある?と思いながら「ねえ」「私もたこ焼き」「銀だこ」と即レスした。友人は爆笑していた。
面白すぎて画像を拡大したらあることに気づいた。たこ焼きにどう見ても「明太チーズ」がかかっているのだ。
「それ明太?」
「うん」
「え?」
「私も明太」
1人で飲みに行ってた友人がお酒を吹き出しかけた。そんなとこまで似なくていい、とは二人の間でわりと聞く言葉で本当にこういう事がよくある。このたこ焼き被り事件を経て、少し似てるかもと思っていた思考は「似ている」という確信に変化した。
似すぎなふたり
漫画が好きで、本が好き。電子も買う。本に囲まれたい。何を可愛いと思うかもおなじ。
美味しいと思う食べ物が一緒。好きな作品の推しも一緒。好きだと思う音楽も一緒。
なんでか被るごはんたち。
面倒くさがりで、外に出たくない。お腹がすいても起きる方が面倒だし、景色を眺めるのは好きだけど人混みが嫌い。
お昼寝が好き。
ここまで他人と似ることは初めてで、まるで自分がもうひとりいるみたいだ。
人との関わり方が唯一違うぐらいで、その他は基本おんなじ。だからまた同じ、と一面を見つける度に面白くて、うれしかった。
そんな時にポツと言われた「もはや運命」と言われた友人からの言葉は、いまでは私の心にストンと落ちている。
運命なんて言葉を信じないし、あまり好きではなかったのだけれど、特別に。
タイトル
今更だけれど、友人はゲームで知り合ったフレンドだ。
警戒心が強く、本人が自覚している交友関係も狭い。だからVCは基本しないし、オフ会とかもしない。
そんな友人にお出かけ自慢をされ「お土産よろしく」と言ったら、本当にお土産が届いた。
そもそも奢られたい思考が強く、課金のしすぎで「お金欲しい」が口癖の友人。
他人にそれなりに壁があり、お金への価値もそれなりに高く感じているはずの友人。そんな人がわざわざお土産を買って、郵送する手間までかけてくれる。喜ばないはずがない。
そうして楽しみにしていたお土産の開封。
これをあげるね、と送られてきた写真の品に対しては、大きいダンボール。まあAmazonも大きいもんね〜と思って開けたら沢山入っていた。
約束のお菓子。
それよりも大きい箱のお菓子。
一番下にこっそり入れられた本とメモ。
お菓子の時点で、某テーマパークのお菓子だったため普通に高くついているし、帰り道に荷物が多いと言っていた理由にも納得した。
「いい物があったから」
といって買ってくれたにしては量が多い。優しすぎる。
そして本。
よく見る紙のブックカバーがついていて、貸してくれたのかなと思ってメモを読んだら違っていて、書かれていたのは
「読んだことが無いから面白いか分からないけど、表紙と帯が可愛くて買ってみた。感想教えて。面白かったら買う」
あまりにも心があたたかくなる言葉。
面白かったら買う、は私が面白ければ自分も気に入るだろうという信頼の言葉だ。友人が本来自分で読んでいたかもしれない本の一番最初をわたしにくれて、その後を託してくれる。
たった2ヶ月、されど2ヶ月。
友人との沢山の会話を通して、こういう形の信頼をくれるほど親しく思ってもらえたのだと嬉しくなり、気の遣いかたが優しくて、人間としてこの人がだいすきだなあと嬉し泣きをした。サプライズはしないと言っていた割にちゃっかりサプライズをしてくる、ずるくて素敵な友人だ。
毎日すきま時間に連絡をくれて、沢山のおもしろいや楽しい、なんなら日々の出来事すら共有してくれる家族のような、友人ができた。
私はいつでも「自分じゃなくていい」と思っているから、全ての大好きな人との間に薄い壁があってある日唐突に自信がなくなってしまう人間だ。家族相手にですら、私がいなくて出来が良く心優しい姉だけが娘なら完璧だったのに、と思ったことがある。いや、今でも思う。
そんな私が自信をもって、「私と居るの楽しいでしょ!」と思える人。なんたって鏡写しだもの。
最近落ち込んでもすぐ立て直せるようになったのは君の存在がとても大きいと思う。いつもありがとうね。お土産がとても嬉しかったから、出来事と一緒に書き残しておく日々の感謝です。