左近司祥子『謎の哲学者ピュタゴラス』(講談社選書メチエ)を読んでいる。
きっかけはエンペドクレスについて知りたくて、調べていたところ本書に記述がありそうだったから。ちなみに、芥川も「或旧友へ送る手記」のなかで以下のように言及している。この旧友とは久米正雄のことだそう。
「僕はエムペドクレスの伝を読み、みづから神としたい欲望の如何に古いものかを感じた。僕の手記は意識してゐる限り、みづから神としないものである。いや、みづから大凡下(だいぼんげ)の一人としてゐるものである。君はあの菩提樹(ぼだいじゆ)の下に『エトナのエムペドクレス』を論じ合つた二十年前を覚えてゐるであらう。僕はあの時代にはみづから神にしたい一人だつた。」
エンペドクレスにはじめに興味を持ったのは、『サラゴサ手稿』に出てきた、「哲学者の塔」についての訳注だったと記憶している。その後、マルセル・シュオッブの『架空の伝記』を読んでますます興味をかきたてられたという次第。芥川以外では、ヘルダーリンやニーチェも言及しているらしい。
一応Wikiの記事を引いておく。本書もまだ途中までなので、後でまた追記するかも。ソクラテスについて書かれた部分も面白いので、以下に引用。
「古代ギリシャの哲学者として日本人でさえ名を挙げることができるソクラテスも、この時代の人である、彼のユニークさは並はずれていた。そもそも、彼はその容貌からして異形だった。少なくとも、古代ローマで作られた小さいソクラテスの全身像はかなり容貌魁偉である。美少年好きのギリシャのことである。彼は、若いころかなり不遇だったのではなかろうか。その彼が壮年になるに及んで、アテナイの美少年の多くをとりこにしたというのも、異常である。」(p.8)
美少年にモテモテだったらしいソクラテス(笑)。古代ギリシャの少年愛というか、パイデラスティアも気になる。ドーヴァーの『古代ギリシアの同性愛』も読まなきゃ。時間がないっ! お金もないっ!