大学に通いだしてからというものの小さな違和感を感じていて、ずっとそのちいさいとげの姿かたちが分からないまま5月を迎えてしまったのだけれど、本日その正体がやっとわかった。あいさつだ。守衛さんたちに対する挨拶を、全くといっていいほど耳にしたことがない。
うちの大学はそこそこな坂道のさきにあるし(大学って基本的に山の中にたってるからどこもそうだと思うけれど)、狭い道だし、車もよく通る。一限前は、守衛さんたちが駅から学校までの道のいたるところにいて、我々学生が安全に通学できるようにしてくださっている。その時に、「おはようございます、気をつけて行ってらっしゃい」と声もかけてくれる。のに。その声に返事をするひとが、まるでいない。おそらく守衛さんたちのことを見ていない。見えていない。多くの人が、風景と同じように扱っている。なんだかなあ、と思う。
自分のために働いてくださっているかたを、存在しないことにしたくない。だから、声を出す。おはようございます、ありがとうございます。わたしひとりの言葉じゃ、きっと足りないかもしれない。それでも、自分の言葉ですこしでもあの方たちが「いる」ことが、同じ道を歩く人たちに伝わればいいな、とひそかにおもっている。