周りの友人たちも、SNSでフォローしている人たちも。わたしが好きな人たちがみんなおすすめしている映画『PERFECT DAYS』。ずっとずっと気になっていたけど、ようやく観てきました。
結論、すごくすごくよかった。大きな展開があるわけではないけど、じんわりと心が温かくなって、こんな生活をしてみたいなと思わせてくれる。長々と余韻に浸ってしまう映画でした。
===ネタバレを含みます===
物語は朝、近所のおばあさんが箒で道を掃くところから始まる。その音で目覚める平山(役所広司)。そして、毎日同じルーティーンの後、トイレ清掃へと出かける。毎日毎日同じ生活。でも、その中でも小さな変化があって、その変化に心が温まることもあれば、掻き乱されることもある。その小さな機微を見逃さず、感じ取ること。平凡な日常でも、小さな幸せを見つけてちゃんと心に留めること。その大切さを丁寧に描いた作品だった。
迷子の男の子と母親を探しに行ったり、外国人に言葉なしでトイレの使い方を教えたり、タカシ(柄本時生)と幼馴染とのやりとりを見たり、文通のような○×ゲームをしたり。思わず顔がほころぶ小さな幸せが作品の中に散りばめられていた。
そして、わたしが受け取ったものはもうひとつ。それは「孤独の愛し方」。平山は仕事が終わったら銭湯へ行き、地下鉄の飲み屋で一杯飲んで家に帰ったら本を読んで寝る。毎日同じルーティーンだけど、すごく贅沢な時間の使い方だと思った。孤独を愛すること、その孤独の時間をどう使うか。たまたま前日の自由な時間を無為にしてしまったからこそ、心に刺さるものがあった。
登場人物みんながそれぞれ苦悩を抱えながら日常を生きていた。
「いまはいま、今度は今度。」
「重なり合って変わらないなんてそんな馬鹿なことないですよ。」
平山の台詞が心に響く。
夜、帰りの車のエンジンをかけると、平山の日常を追体験しているような気持ちになった。