がん患者になって献血の先をイメージできるようになった

onehap
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学生のころ、献血が好きだった。

といっても、大学の近くには献血ルームがなかったので、帰省したときや東京に行ったときなど、行けるタイミングで行っていた。

わたしが行っていた献血ルームは、ドリンク飲み放題で漫画も読み放題。ハーゲンダッツをくれることもあり、至れり尽くせりな環境だった。そして何より、人の役に立っている感が当時のわたしにとって心地よかったのだと思う。

でも、なぜか血液検査で正常な数値を出せないことが多くなり、次第に足が遠のいていった。

それから10数年経ち、がん患者になった。仕事仲間や身近な友人に打ち明けると「友達にも白血病の人がいてさ」と白血病の人の話を聞くことが増えた。

白血病は抗がん剤でがん細胞をやっつける治療が主流。そのときにがん細胞だけでなく、赤血球や血小板などからだに必要な細胞も弱まってしまうので、輸血が必要となる。その輸血に欠かせないのが、献血だ。献血で集められた血液は精密な検査が終わると血液成分ごとに分離されて血液製剤となり、医療機関に送られる。

献血は、怪我の治療や妊娠分娩時などに使われることもあるが、約40%はがん治療に使われる。現にわたしもXで多くの白血病患者のポストを見てきたが、多くの人が輸血を受けていた。

以前は献血をしていても、その後の血液の使われ方がイメージできなかった。でも、病気になってその先が具体的に見えるようになった。自分の行動がだれかの命を救う。これだけ気軽にできるボランティアも少ないんじゃないかなと思う。

加えて、先日起こった能登地方を中心とした地震。ただでさえ足りない血液だけど、これからはもっと多くの量が必要になる。わたしも力になりたいけど、がん患者は献血できないから。これを読んだ誰かが行ってくれることを願っている。