ひそり、ひそりと人々は語る。
地獄耳でもあるちょっと耳がいい私はそれに耳を傾ける。すると、ひとつの土地の名前を耳にする。
その名は『しずかなインターネット』というらしい。
大きなところとは違う、密やかな場所と聞いて、天狗の如く気分屋な私は風が導くがままにフラリと下駄を地につけた。新天地であるが故に何も無く白紙。少し昔の紙のような落ち着くクリーム色をしたその場所は何を書いてもいいという。不思議なことに、見せるように工夫しない限り、書いたものは周りには見えないらしい。
ならば。
私はその白紙を眺めたかと思うと、たどたどしくなるべく大きな字で、小さく壮大な目標を書いた。
『素直に向けて努力せよ』
満足はした……が、まだ書き始めたばかり。しかし、ネットが普及していく世の中で本当の気持ちがなかなか書けない今だからこそ、その目標を書くこと自体が大きな一筆に思えた。
暗い話、しょうもないこと、心に秘めた哲学。ここに綴るはそんな、なかなか素直になれない皮肉屋な鬼が出来るかぎり書いた、自分と向き合うための素直な駄文。