「シングルでも結婚でもない、 女2猫4の愉快な生活」。
規範を揺るがしていきたいクィアとして、シングルもしくは結婚ではない同居の形は模索していきたい。自分のまわりでも絶賛する声が多く気にはなっていたのだが、ある意味すごくヘテロノーマティブに漂白されているような気もしてなかなか読むことができなかった。今回ennieと読書会をするうえで「これを機に水槽さんに読んでもらいたい、ふたりで話をしてみたい」と紹介してもらい、購入に至った。
実際に読んでみて、読む前に抱いていた印象と大きくは違わなかった。穏やかで楽しくて、ふたりの関係についてつぶさに描写があり読んでいて心地がいい。一方で気になったのは「女ふたり」なのに同性愛的な文脈が一切出てこないこと。できるだけノイズを除くようなつくりになっているのだろうか、晒される”社会の目”は一貫して「未婚女性」としての圧(結婚しないのか、いつまでシングルなのかなど)のみで、例えば「レズビアンだったの?」と聞かれるとか、「二人はカップルなの?」と思われるとか、そういう描写や思いを巡らせる瞬間が一切ない。ヘテロセクシュアルの女性ジェンダー二人の物語なので、と言われればそれまでだけど。