運動不足を実感している。今までは自宅から都内の職場まで片道1時間半ほどかけて通勤していたので、何もしていなくてもある程度運動量は確保できていたのかもしれない。休職直後は運動のことも考えずにひたすら眠る日々が続いていたが、そろそろ体力を戻していきたいなと思い始めたのが先週のこと。ちょっとした徒歩で疲れを感じたり、昼寝をせずに過ごした日は夜に突然充電が切れたようにぷつりと動けなくなってしまう。これからのことなんて一つもわからないけどとりあえず体力がないと多分困るだろうと思う。少なくとも今の状態では通勤すらままならないのではないか。そこで考えたのが、「とりあえず歩く」。数値目標もつけた。8千歩。ぼーっとしていたら達成できないけど、歩くぞ!と思って家を出れば案外到達できる、という絶妙なラインだ。明確な目標ができたおかげで(あと生活記録表をつけ始めたこともあり)、今週は張り切って街に出て行くことができた。※生活記録表とは・・復職時の判断材料にするため記入する生活リズムの記録表。寝た時間や起きた時間、ごはんや服薬のタイミング、コンディションを記入していく。
1日目
1時間ほど歩けば海に出られる場所に住んでいる。そこで今日は海の方へ歩き、道中にある星乃珈琲でお茶して帰ってこようと思い立つ。海へ出る一本道は大きな車通りで、歩いていて結構退屈だった。目に映る景色がほとんど変わらず、ひたすら歩くしかない感じ。ところどころに病院があったりスーパーがあったり。どんな場所にも人の生活があるんだな、という当たり前のことを思う。この日はイヤホンを忘れてしまったので、いつも歩きながら聴くPodcastも再生できずもどかしかった。片道30分を経て目的地へと辿り着く。家の近くには星乃珈琲店がないのでちょっとしたおでかけ気分になってよかった。ランチと珈琲を頼んだらふつうに1,300円くらいした。ちょっと高い。フロアは間接照明とちょっと高級感のある内装で、まあちょっと高いのにも納得しながら、お食事が運ばれてきのでお昼にする。久しぶりに食べるパスタは美味しかった。
2日目
最寄駅と、その一つ先の駅をぐるりと歩いてみることにする。普段の景色を通り越してあまり歩かない道になっていくのが楽しい。昨日歩いた道よりもこっちの方が賑わっているので退屈しない。カフェ、靴屋、うどん屋、魚屋、歯医者……くるくる変わる景色を楽しみながら歩いて行く。道中に図書館があったので少し立ち寄る。児童文学や小説が多めで、こぢんまりとしており分室のような図書館だった。散歩に戻りまた少しさくさくと歩くとパン屋さんがあった。ちょうどお昼を食べたい時間だったので小さなマロンデニッシュを買う。栗が大好きで、栗系のおやつやパンは見かけるとつい手を伸ばしてしまう。嬉しい気持ちで少し歩き、近くの神社に座って食べた。街の中の公共のスペースとして、座れる場所を探す時はいつも神社やお寺を目指していく。ありがたい。お参りして帰る。
3日目
きのうと同じ方面の道中にあるお寺に行こうと思いPodcastを聴きながら歩く。寅の子すて〜しょんというPodcastが大好きで、散歩の時はだいたい流している。もうすぐバックナンバーを聴き終えてしまうな。少しさみしい。お寺はいい。大きな木があり、広々とした空間。心がすっと晴れる気がする。高校生の頃うまく学校に通えなくなった時期があって、その時に母親が法多山に連れて行ってくれた。青々とした景色にひんやりとした空気、きれいな水の流れる参道に、当時ずっと抱えていた憂鬱な気持ちが少しだけ軽くなったのを覚えている。その頃からお寺は好きだ。境内をぐるりとしてから散歩へもどる。今日は川沿いをいこうと思い、水の音を楽しみながら歩いて行く。馴染みの道から一本ずれただけなのに全く知らない場所のようになっておもしろい。だいぶ歩いたのでもとの見知った道へ戻り、最寄駅へ寄り道。図書館で知り合いの方が友人とつくられたzineをひらく。手作りのものっていいなあ。往復書簡ってやってみたい。
4日目
今日は一駅電車で移動して、目当てのドーナツ屋さんまで歩く。いつもと違う駅というだけで新鮮な気持ちで歩く。一番気になっていたクリームの入ったドーナツは売り切れてしまっていたようで少し残念だったけど、代わりにシュガードーナツにレモンピールの入った「レモンドーナツ」をいただくことにした。珈琲とドーナツの組み合わせってどうしてこんなに幸せになれるのだろうか。おいしいおやつを傍に、今日は読書に集中できた。ミシェル・ド・セルトー『日常的実践のポイエティーク』を読んでいる。序盤は難解だったがだんだんとおもしろくなってきて気持ちよく読み進められた。付箋を忘れてしまったので本の耳を折る。明日もう一度同じ部分を読み返しながら付箋を貼っていこう。