尾道日記1

水槽
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尾道へ行く。JRで品川駅に移動して、新幹線に乗る。普段は乗らないのぞみ。早い時間にお昼をすませたため少しおなかがすいて、品川駅で購入したシュガードーナツをおやつに食べる。車窓から景色を眺めながら移動中に読もうともってきた本を開き少しぼんやりしていると気づいたら眠っていた。目を覚ますと大阪に到着するところだった。本を読みながら福山駅を待つ。

福山から電車に乗り換えて尾道へ。移動、やっぱりまるまる4時間から5時間くらいかかるな。それでも何度でも行きたいと思う場所。今回お世話になる菜月さんが、駅まで迎えにきてくれた。もう19時くらいだったけどまだほんのり明るくて、日が延びたなあと思う。

おうちについたらまーちゃんが童子と遊んで待っていてくれた。まーちゃんと会うのは年末ぶりなので少し久しぶりな感じがする。用事があるみたいで、そのときは挨拶だけしてばいばいした。

荷物を下ろして休憩していると、近くに住んでいるともだちが遊びにきてくれた。あゆちゃんに会うのはなんと去年の6月ぶり!前に会った時は東京だったので、こうして尾道で再会できて本当にうれしい。しばらくあゆちゃんと話をしていると、菜月さんが夜ごはんをつくってくれた。きゅうりに梅干しをあえたものがおいしくてぱくぱく食べた。童子が観たいと言ったムーミンを、大人たちも観る。気づいたらあゆちゃんが隣ですやすや寝ている。いい夜〜。

1日目

のんびり起きると、菜月さんが部屋を整頓したり棚を作ったりしていた。早起きって、朝からいろんなことができてすごいなあ……とぼんやり思う。白湯を飲みつつ布団を片付ける。そういえば、尾道にきて初めて蚊帳の中で眠った。透明な天蓋のような、キャンプのテントのような、なんともいえないわくわく。それはそれとしてムカデは怖い。

9時半くらいにのんびり朝ごはん。菜月さんのつくってくれるごはんはいつもおいしい。シンプルだからこそ素材のよさがぎゅっと詰まっていて、毎日をそっと応援してくれるようなごはん。自分も家では自炊をするけどもこんなに食べ物のもつ良さを生かしたような食事をつくることができない。食べることって生きることの最小単位な気もするし本当はもっとちゃんと向き合った方がいいんだろうなあ。

少し曇っているけどお天気もよかったので、スーパーへ食材を買い出しに行く。向島にわたるため船に乗って。ふだんとは違う土地のスーパーに行くと、売っているものや値段もだいぶ違うので見ているだけで楽しい。新鮮な野菜やおいしそうなお惣菜(カニクリームコロッケ)、どれでも百円だというスーパー内のベーカリーで焼かれたパンなどを買う。二人で手分けしてもずっしりと重たい。おうちに帰ってきて、白湯を飲みながら買ってきたパンを食べる。お昼に食べるパンって大好き。

本を読んだり童子とあそんだりしていたら夕方になっていた。菜月さんが夕ごはんをつくってくれた。きのうおいしいおいしいと言いながら食べていたからか、今日も梅きゅうりをつくってくれた。今日もおいしくてあっという間に食べてしまう。白いご飯にも合う。あと、お味噌汁、自分は普段家でお味噌汁をつくらないのだけど、やっぱり汁物が食卓にあるだけで豊かだなあと思った。味噌、買うか……(そこから……)

2日目

今日ものんびり起きた、菜月さんはもう棚をつくっている。やっぱり早起きっていいな。休職してからというもの、なかなか朝起きれなくてなんとか10時とか11時頃に行動開始、ぼんやりとした頭のまま1日を過ごしやることが終わらずに夜更かし・・という悪循環に陥っていた。この尾道滞在が終わってもちゃんと起きたい、朝7時くらいに起きて顔を洗って行動したい、、と思う。今日の朝ごはんはあたたかいおうどん。野菜がたっぷり入っていて、やさしい味でおなかにやさしい。にんじんや大根など、野菜はまとめて買ったものを一口大に切りそれをジップロックに入れて冷凍しているそう。すぐに使えていいな〜。

菜月さんが収納の大改造をしているあいだ、本を読みつつ童子とあそぶ。2歳半になった童子はよくしゃべり、よくわらう。こちらの言っていることも理解しているし要望を伝えるのも上手だ。自分が2歳半だったころの記憶なんてないけど、すでにこんなに「人間」だったんだねって不思議な気持ちになる。

少しして、お片付けが落ち着いた菜月さんが寝かせてあった生地をペンギンの型で抜いて、クッキーを焼いてくれた。お昼前のおやつ、とってもうれしい。焼きたてのクッキーはすこしやわらかくてあたたかくておいしかった。みんなでおいしいねえ〜といいながらあっという間に食べてしまった。

お昼はナポリタンをつくってもらった。パプリカやブロッコリーがいいアクセントになっていてケチャップの味付けとよく合う。こういうごはんをぱぱっとつくれるって本当にあこがれる。菜月さんは「今回はたくさんケチャップを使ってつくったけど、そのおかげでおいしくできたのかも」と言っていた。童子もナポリタンが好きなようで、ふだんはふらりふらりと遊びながら食べているところを今日は集中して机に向かって食べていた。おいしいよねえ。

昼下がり、菜月さんが制作中の『めんどくさクラブ』LINE絵文字のデータを整える。このためにiPadとMacBook Airをもってきたけど正解だった。仕事がめちゃ捗る。アナログで描いた絵をiPadに取り込み、線を整え、背景を透過しペイントソフトで着色する。LINE絵文字の規格に合わせてリサイズし、データを保存したらMacへ送信。エアドロのおかげで異なるデバイス間でのデータの移動もスムーズです。Appleってすごい。

ほどほどに作業が進んだところで外へ出る。5月らしい、さっぱりとした気候でお散歩にぴったりだ。商店街を歩き、大好きな本屋さん『紙片』を目指す。尾道の商店街はいつも賑わっているイメージがあるけど今日は平日だからか静か。平日は閉まっているお店も多いからね。

『紙片』はいつきてもいいお店。静かな佇まいとやさしい音楽、うつくしい本のあるところ。店主寺岡さんに挨拶をする。(寺岡さんと『アルト』店主のまっちさんがやっているインターネットラジオ『町田明彦のキッチンタイマー』を普段から聞いているため(最近は少し溜めてしまっているけど)、「いつもきいてます、ファンです・・!」みたいなメンタルになってしまい気恥ずかしい。不審で申し訳ない)

店内をゆっくりゆっくり見て回る。本屋さんでありながら、どこか美術展示を見ているような感覚にもなる。本たちがそっと並び、本ってだいじにされているとこんなにその本のもつ「よさ」が自然と伝わってくるんだなあと思う。自分の部屋の本棚も手入れしたくなってくる。本も棚も生きている。

購入品『100年後あなたもわたしもいない日に』(文・土門蘭、絵・寺田マユミ) 絵本のような歌集のようなエッセイのような、それぞれの要素が心地よく調和したふしぎな一冊。紙に仕掛けがあったりと遊び心いっぱい。『"aprils"』(hashimoto hideyuki) こころと生活に馴染むピアノの楽曲を制作されているhashimoto hideyukiさんのあたらしいアルバム。ストリーミング配信されているけれどCD媒体で手元に置いておきたくて、この度ようやく入手することができました。パッケージデザインも美しくて、買えて本当によかった〜。

尾道日記 つづく