同人誌表紙とカバーをデザイナーさんと印刷所さんに依頼した記憶

大事
·
公開:2025/7/14

備忘録とするため、この表紙とカバーを作るまでの全工程の記録です。忘れてはいけない恥も全部晒しとこ!


<カバー完成図>すてき

<表紙>きれい

<完成図(実物)>ええやん


【完成仕様】B5/40ページ

  • 表紙用紙:新シェルリンN プレーン 180kg

  • カバー用紙:クラシコトレーシング-FS 66.5kg(788×546mm Y目)

  • 表紙印刷:オフセット1色刷り(銀)

  • カバー印刷:オンデマンド4色

  • 遊び紙:色上質 厚口 黒

  • 本文用紙:コミック紙ラフ

  • 加工:表紙カバー巻き+紐巻き

  • 印刷所:西村謄写堂オンデマンドさま

  • デザイン:ダダとドさま

  • 発行日:2025年7月13日


その日オタクは悩んでいた

「本文のラストから、繋がるような表紙が作りてえ」

と…。

英都編視聴後、茫然自失だったオタクは「運命の歯車を縛るあの赤いロープをぶっちぎって、望む未来へ手を取り一緒に進んでいく自カプのふたりを見たい。ただ平和の中で静かに暮らさせてあげたい。笑っててほしい。心から信頼できる人と日常の小さな幸せを噛みしめながら生きていくだけの、たったそれだけことも個人に許されへんのやったら、なんかもう俺人間ていう種族ごと嫌いやわ。滅亡して♡(うちわ)」ていう思いを心の水底に湛えてそういう漫画のプロットを作りました。

奇しくもこれが夏の自カプオンリーというおお祭りに出す漫画になるので絶対に何一つ後悔を残したくない、わたしはやり切ったって言いたい。とオタクは思い、「人の手は借りれるだけ借りる」という前回得た学びを生かすことにしました。ろくなことを学ばんオタクやな。まあ置いときましょう。其れ即ち、

①「印刷所さんに印刷、装丁についていっぱい尋ねて助けてもらう(遠慮したら負け)」

②「デザイナーさんにデザインや装丁についていっぱいアイデアをいただき助けてもらう(遠慮したら負け)」

せやな!関西生まれの遠慮のなさの神髄、見せてやんぜ!とほんまは他人とよう喋れんくらいの陰キャのくせにチョづき、実現できるかどうかについても「知らん。わからん」ていう状態の案をもって、難しい装丁もやってくださると評判だった西村謄写堂さんとSNSで探したなんか素敵やな(直感)というデザイナーさんに以下のような初期案を送りつけました。

<初期案>

■時間帯の想定

  • 「夜明け」ではない。綺麗な夜明けの光はまだ射してない。その前の時間帯。

  • でも、もう確実に夜ではない。朝の雰囲気をまとった暗くて静謐な時間。

  • 隣にいる人の顔も薄ぼんやりとしか見えないような暗さ。

    (初期案左下にあるイメージ図でもまだ明るすぎんねんほんとは…とやたらこだわってた。こまけえオタクだな。一番大事にしてたテーマなの!!!)

■紙や印刷の想定

  • 上でやたらこだわっているその時間帯の暗さを表すにはどうしたらいいのか?暗めの色の紙に似たような色の暗いインクで印刷したらいいのかな??

  • 視認性は悪くていい。むしろキャラの顔よく見えたら解釈違いです

  • 本文を読み終わり、裏表紙にたどり着いたら折り返しがある。そこにある絵が本文のラストから繋がって、表紙にまた帰ってくる作りにしたい。ていうかする。絶対に。できるんか知らんけど。片側フランス製本とかですか?(一生懸命「折り返し 同人誌 装丁」とかで検索した付け焼刃知識)

  • 表1(表表紙)には絵なくていい。漫画の本やと思われなくてスルーされてもいい。わたしの知ったことではない。なんでそんな言い方するん。あかんよ。

■紐の想定

  • 原作と同じように赤いロープに模したものが本に重なって巻き付いて、それを引っ張り千切ってから読んでもらいたい。運命を打破すんねん。

  • 引っ張れへんかったら、刃物でぶった切るでもいい。再現性は要らん。この紐は二度と巻き直すことなどない。なんでそんな言い方するん。こわいよ。

当初は画像のような、紺色系の用紙に一色刷りとかが関の山かな?紐は、こんな感じ…?とわたしの怨念みたいなこだわりを聞かされた印刷所さんがご提案してくださった用紙、素材案をもとに、デザイナーさんにもお話を持って行きまして、今の案は妥協案というか自分でたどり着ける限界がそこでしかないという感じ。これでもいいけど100の満足ではない。今の状況以上の、わたしの希望を全部拾う装丁案出していただけませんでしょうか。てお願いしました。無茶を言うなよ。そしたらまあ、世の中には天才とセンスのいい方というのはいらしるもんでここから装丁案4つも出していただき、その中の最後の一つに「トレペのカバー、どないや」ていう案がありました。見た瞬間、それやな。決まり。真顔。ケツアゴ。ってなって決まりました。完。終わらぬ。わたしがデザイナーさんに送ったメッセージのきっしょい大喜びの様をご覧ください。↓

毎回デザイナーさんのメンタルに圧かけてへんか心配で堪らなくなる 思い込みの激しいオタクですまない 感謝と感謝と感謝しかしてない

ここからデザインを仕上げていただき、ところでトレペカバーの厚さどないしたらええんや?ということでカバーの試し刷りをしていただいたり(想定より薄い紙と厚い紙で刷ってもらい、どっちも気に入らんので印刷所さんが最初に提案してくれたその真ん中の厚さの紙に落ち着きました。最初から言うことを聞けよ)、わたしの絵が地味すぎるか…?てチキって入れてたハイライト部分、クソ邪魔、要らんがな。て修正したり、紐の巻き方、横一文字とちやうな。ふたりの手のところ通りたいな。結び目もそこやな。この頃には、「紐をぶっちぎって読む」という案は消えていて、「紐をほどいて読む」仕様に固まっていました。わたしは本の帯とか超大事にするタイプのオタクなので、なんなら帯が違うなら同じ本2冊買うとかするアホなので、本に付属している物品を損なうの、自分なら普通にいやだな…て思ったからです。保育園の先生も自分がやられて嫌なことはお友達にもやったらあかんのよ。と言うてました。というわけでありがとう先生……とおもひでに浸るなどして完成と相成りました

<試し刷り>cxsの髪とlgのマフラーのチェックの白、邪魔 消そ(殺し屋?)

<巻き方思案中>

自分ひとりでも最初から全体のイメージ図は固まっていて、そこから大きくデザインは変わってないんですけれども 装丁初期案でひとりでやってたらここまで絶対たどり着けなかった。多分ただ暗いだけとか 用紙コレジャナカッタ…とか 印刷こうじゃなかったな とか。黒く潰れたダークマターのなにがしかを生み出していたと思う。まあ仕方ないか同人誌やし…って諦めがどっかで入っていたことと思います。いろんな人のお力添えをいただいて、自分の頭の中で見てた絵、そのままうつしよに出力できた。うれし~燃え上がるようにうれしい 

表紙と漫画の中身がひと繋ぎになって、永遠に巡るような…そういうん作るんじゃい!!ていう初志貫徹ができて本当に良かったです 中身も目指してたとおりにたどり着けたと思ってます。ずっと描きたいなと煮詰めまくってた話やし、全力で描いたもん。おもろいかどうかは他人が判断することやから知らん(自分勝手)

何がいいって、わたしだけにこの表紙がとても大切で、世間的にはこんなんオタクのひとりこだわりで塵ほどの価値もないところ。わたしにだけ特別なのがめっちゃいいなって思っています 伝わるでしょうか…この……ろくろ…わたしだけが知っている…、わたしだけが大切に思うものがあるの、素晴らしくこの世のこと好きになる。ニンゲン滅ボスノ、ヤメル。(化物)

急にうちの猫の話するんですがうちの猫も世間的にはただの雑種の捨て猫出身だけれども、わたしにだけ特別な、世界でいちばん大切な猫であるというのと同義で…あれですよ、星の王子様でキツネが言ってたやつです 伝わらなかったかしら? 文章力を磨いて出直してきます

前回の本の表紙デザインしてくださった方から特殊装丁で心配な時は事前に試し刷りしてみたらいいよって教えていただいて、そんな策が世にあることを初めて知ったのだった 無知 今はわたくし良い子入稿の人みたいに見られているかもしれませんがこんなん時光描き始めてからのかりそめの姿で、いままで全然極道だったので(なんだか語弊を感じる)自分の同人誌って会場で初めて出会ってびっくりするもんだと思って生きてきたので 事前に準備をしておくってすごく心臓にやさしいな…と改めて学びになりました。

今回、一番最初に印刷所さんに連絡したんは2025年の2月の終わりです。そこが同人誌の作り始めと言っていいと思う。プロットはほぼほぼ固まってたから先に表紙の方に取り掛かって、あとはこの目指すべき方向に向かって本文が描ければしまいじゃ…!!て血眼になってネーム切ったおもひで うつ伏せで寝転がってやってたことで腰に負担が蓄積し、このあと他のきっかけでぎっくり腰になり一回休む。になります。あほたれ

7月に出す本やのに、めちゃくちゃ時間かけたけど 自分は半年くらいかけてのんびりゆっくり1冊作るのがなんか向いてるなと思っています

トゥワイエ(とはいえ)ここまで凝ること今後そうないとも思う 紙が、折ってあったらそれは本やろうが…がゆるぎない己の基本理念なので これからも気楽に妄想をかたちにしたいです

西村謄写堂さん、噂にたがわぬめちゃくちゃ有能な印刷所さんでいや…話が早いな…まだわたしなんも言ってないのになんかもう担当の方に伝わってる…てことが2度3度あってびっくりしました。あとイベント当日、ご挨拶周りに来てくださってわたしの意味わからん「同人誌に紐巻きたいんすけど」ていうクソみたいな依頼を当初から対応してくださってた担当の方からのお手紙いただいて、中に手書きのコメントとその方の「個人的おすすめの紙」サンプル入っててどちゃくそかわいくて(紙がではなくその行動が。紙ももちろんかわいいよ)どうにかなりそうになった。なんやねん。すごいありがとう。そういうの聞くの好き。もっとちょうだい。お値段はそれなりに張るので、初心者向けの印刷所とは言い難いかなとは思うけど これがオンデマすか?ていうくらい印刷きれいでこんなにクリスタの画面表示通りにトーンとかグレーの色出たん初めてやな…て思ったし何もかもの無茶を叶えてくれる、そう、例えば同人誌に紐を巻くとか。紐を巻くな。何してんねん。 特別な本つくるぞってなったら絶対またお願いしたいです。別にPRとかじゃないです。個人の感想。足向けて寝れん方角が増えました。困ります

以上です 本作る人の参考になったらいいなと共に漫画、おもろいと思うかどうかはどうでもええとは言いつつ、願わくば同好の士の皆さまに楽しんで読んでもらえたらいいなと思ってます もう!ツンデレしぐさやめな~?

@oogoto
⚫️⚪️ SNSに載せるのは不向きな覚えておきたいことを記録しておく場所