たまに名前にするくらいおつきあいの長いこいつ、口内炎。このインターネッツでもこうないえんと名乗ってみている。
あの手この手で対策したって、気づいたら舌に住んでるんだからたまったもんじゃない。住んで良いと許可をした覚えはない。それについては、誰だってないと思う。
「やあ、口内炎さん。この舌、住み心地が良いって評判なんだ。どうだい? 住んでみるかい?」
まるでそう誰がが吹聴してるんじゃないかってくらい、現れる。一体誰がそんなこと。
そんなバカみたいな話は置いといて、とにかく、月のほとんどは「いたい。口内炎ができた。いたい」と愚痴を漏らしている。
昨日から現れている口内炎くんと口内炎さんだけど、こいつらはなぜか連立してやってきた。舌の横に沿って、整列するようにほどよい距離を保って並んでいる。
薬を塗ろうと鏡を覗き込んで、それに気づいたときは、なんだか丁寧にならびやがって、としばらく眺めてしまった。
これを書いているいま、舌先にいる口内炎くんはなんだかうっすらとしてきて、痛みもほとんどない。奥にいる口内炎さんは、まだじくじく、ひりひりと痛んで眠りを妨げる。薬がなかなかうまく定着してくれない位置なのも相まって、痛みが引くのは明日以降だと思う。
それでもなんとなか治っていくわけで、当然、寂しいなんてこれっぽっちも思わない。せいせいする。大口開けて、ご飯が食べられる。
でもなんか、なんかさあ。妙に綺麗に並んでいたものだから。一緒にばいばいじゃないのはちょっとさみしいかもねー、なんて思ってみたり….…しないよ! とにかく、早く! 治ってよ! 一緒にばいばいしてくれよ! お願いだから!
もー。おやすみなさい。