文章を読むとき、そのまま頭に入ってくる人と、頭の中で音読する人がいるって話がある。この話を聞いて思ったのは、おれはそのそれぞれの文字を頭の中のペンのようなものでなぞっているような感覚があるということ。ちなみにじぶんは頭の中で音読するタイプ。
ただすべてをなぞっているわけではない。習字の感覚でいうと、最後のはらいをする瞬間からはらい終わって筆を持ち上げたあたりの筆の軌道が見える感じ。軌道が見えるといっても、見えているわけではなくて、その筆を手に持って動かしていた時に感じた感覚、この感覚がある。見えはしない。この感覚だけ。だからなのか、文章を読むときは流れやすさ、大きさ、リズムのようなものを感じる。身体で感じている感じがする。