自分が守られているという感覚

osashimi
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来月で一人暮らしをして一年になる。

といっても12月頭に引っ越し自体はしたものの、実家も新居も職場まで車で片道15分ほどなのは変わらなかったし仕事も忙しくてバタバタしていたので本格的に住み始めたのは年末休みからだった。去年の今頃は荷造りやら手続きやらをしていたんだと思うのだけどなんにも記憶にない。なんにも覚えていないのが恐ろしい。

ただ、引越しの2週間前になってやっと父に一人暮らしをすることを伝えたことは覚えている。

父はかなり過干渉な人で、わたしが決めたことややろうとしていること、買ったものにまでなんにでも口を出してくる。そんななので一人暮らしをするなんて言った日にはまた何から何まで口を出されることが目に見えていたし、何より反対されることもわかっていたので本当にギリギリまで伝えなかった。結果、その作戦は成功ではあったが結局なんやかんやと口出しはされた。

父と離れて一年暮らしてみて、もちろん両親のありがたみや実家の快適さがかなり見に沁みるようになったが、それよりなにより「自分自身がきちんと守られている」というのをすごく感じられるようになった。

常に父から干渉され続け、「お前は俺に似ていてかわいそう」という呪いの言葉を物心ついた時から毎日のようにかけ続けられていたが、離れられてようやく「わたしとあなたは違う人間ですよ。わたしはあなたに似ているところももちろんあるけれど、それでも別の人間です。」と胸を張って思えるようになった。そうしてようやくわたしはわたし自身の人間の形というか輪郭が掴めるようになってきた気がする。わたしの好き嫌いや感情の起伏はわたしのためだけのものであって、誰かに寄り添ったり誰かの期待に応えるために歪ませるものではないとはっきり思えるようになった。今まではそう思ってはいてもいざその状況を目の当たりにするとやっぱり合わせなきゃいけない気がして、でも合わせたくなくてどっちつかずの態度をとってしまい余計に怒らせたりしていたけど、前よりは余裕を持って切り離せるようになってきた気がする。

こうやって少しずつ適切な距離をとって良い関係のまま歳を重ねていきたい。もうこの関係を早く終わらせてくれ、と願うことなく生きていきたい。

一人の部屋で誰の足音にも脅かされずにじっとしていられることがこんなに幸福だとは思わなかった。

@osashimi
だれかにきいてほしいことはたくさんある