プラダを着た悪魔のメリル・ストリープが、たまらなく好きだ
あの映画はスピード感があって見飽きないし、一人の女性の成長譚としてもまあ好きだけれど、あの世界に憧れているというわけではない(と思う)
メリル・ストリープとアン・ハサウェイが好きなのだ、あの世界の。
メリル・ストリープは役のカリスマ性を出すために、あえて「ぼそぼそとしゃべる」演技を選んだという。
囁くように、されど鋭く刺すように、下々の者が一言も聞き漏らすまいと本能的に耳をそばだてるように仕向けるために。
「役作り」という行為に対してプロ意識を感じたのはこのときが初めてだったと思う。
だって、ドラマといえば売り出し中のタレントをうんたらかんたらとかそんな世界しか知らなかったんだもの。
あの冷たい瞳、完璧なメイク、美しいデコルテ、年齢を感じさせない大きく背の開いたドレス、孤高、それなのにあれほどの寂しい背中。無言の演技。
オーラと言わずになんと言う?
(っつって、役の名前が出てこないのだ、私は。あっちがミランダで合ってる?)
そのミランダが、アン・ハサウェイに「私たちの世界」と言うということはそういうことなのだ。
だけどその部下は別の道を選んだ。ミランダはそれを受け入れる。そしてまた孤独に、孤高に、自身を拠り所に生きる。
あれは、そういう物語だと私は思っている。
ほんでさ、授賞式とかの彼女の笑顔のギャップがたまらんのよ。