11月1日と2日のこと、12月の予定

ototote
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公開:2025/11/3

11月1日、石引康子さんのソロコンサート「漂拍」@神保町月花舎にて、新作の初演がありました。この曲でふんだんに使ったハーモニクスは古典琵琶にはない奏法のため康子さんにはご苦労をおかけしましたが、演奏は大変丁寧で嬉しかったです。(そしてコンサートタイトルもおそらく新曲の意図を汲み取ってくださっている!)新作は器楽曲だったのですが、前後の語り物とのバランス、プログラムも素晴らしかったのではないでしょうか。

語り物は単なる歴史叙述ではなく、奏者が身体的な記憶装置となり立ち現れるのだと思いました。勝者の側から記述されがちな歴史を、敗者・祈りの側からポリフォニックに立ち上げる。それが過去の物語を借りて現在を聴き直す行為になるとしたら、近代の語り方に回収されない他者の声を聴く実践にもなるだろうなと!今まで琵琶の語り物ってなんか恨みつらみの陰々滅々としたイメージがあったのですが、ちょっと違いました。機会があればぜひ多くの方に体験してもらえると嬉しいです。琵琶は連作の構想があるので、ぜひ近いうちに続きを書きたい…!

11月2日、水道橋Ftarriにてギター・アンサンブル・根岸。アコースティックギター6名のアンサンブル、出る音ほとんどがハーモニクスという特殊アンサンブルだったのですが、これが面白かった!杉本さん、増渕さん、私の3名で曲を持ち寄りました。増渕さんの曲はいつもの増渕節(つまり、ご本人はおそらく影響受けてないし知らないかもしれないけど、芦川聡や吉村弘につながる甘くはないアンビエントの趣があるように感じます)が面白く、リハ入念にやってリトライしてみたい一曲でした(それは楽譜通りに上手くできるかとかじゃなくて、バンドにおける息が合うか…みたいな感じ)。杉本さん曲はシンプルな仕組みから豊かな結果を導くルールというか仕組み作りが上手いなーと。5弦に限定して倍音を聴き込む感じもソリッドで良かった。私の曲は同じ音程でも倍音によって若干音が高い・低いあるので、微分音程みたいなモアレが起きるって仕掛けの曲でした。ただチートというかシンプルに2度音程も含ませるような仕組みにしていたので、モアレの現象としてはそれが勝ってしまった気もしますが、全部含めていい感じの倍音の渦でした。

どちらのコンサートもたくさんの方にお越しいただき、大変嬉しかったです。11月の演奏は早速これでおしまい。来月はまず12月1日に川和田遼さん企画Plays Bill Frisell@神保町試聴室にて、迫田圭さんと西村薫さんと4人で演奏します。19:30 open 20:00 startです、月曜日ですがお仕事にふらっとぜひお立ち寄りください。今度じっくり文章として書いておきたいのですが、エレキギターで現代曲を始め西洋音楽にトライするということは、エレキギターのルーツを知っておくことはやっぱり大事だなと感じておりまして、Bill Frisell企画はそういう意味でとても大事な機会だと思っています。

そして年内ラスト(!)12月23日はunder-passというグループで「演奏会:脱植民地化を考える(進行中)」という企画があります。under-passは最近結成された金ヨハン、黒田崇宏、樋口鉄平と田中慎太郎によるグループです。

作曲家中心のグループで演奏会を企画してステージに上がるのも自分たちって珍しいのではないかと思いますが、各々の作曲作品の演奏やパフォーマンスを行います。先月から打ち合わせを重ねに重ねて、めっちゃ丁寧に企画作っています(このみんなの丁寧さに感銘を受けてる場合じゃないので私も頑張るぞ)ぜひお越しいただけると嬉しいです。

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www.ototote.net 音楽を作ったりギターを弾きます