outani_a
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いま、中年女性同士のカップルの短編を書いている。舞台はジャストナウ現代に設定し、彼女たちは運よく(運よく!)十年以上も一緒の賃貸物件で同居できているが、養子縁組はしていないし、パートナーシップ制度も利用していない。長い年月の積み重ねがあって、この後はどうなるのかねという話。”もし”同性婚が法制化されたらどうする? という話も出てくる。もし。if。今はそう書くしかない。今は。2024年なのに。

私は恋愛と対人セックスがまあまあしたくて、誰かと一緒に人生を歩めたらいいなと夢想することもあり、だがしかしおそらくそれらはこの先も叶わず、寂しいよぉと嘆きながらいつか風呂場で一人で死んで三か月後くらいに発見されるタイプの同性愛者だ。同性婚が法制化されても、私個人にいいことなんか何も起こらない。親から結婚しろプレッシャーが強まるだろうし、周囲の幸せそうな同性婚カップルに湿った視線でしっとビームを放ったりして、むしろ悪いことのほうが増えるかもしれない。それがなんだってんだ。中年女同士が結婚の話をする小説を、SFやファンタジーでなく書きたいよ。自分の手に入らない現実を書くあの焦燥を感じさせてくれ。おれをもっと苦しませてくれ。