chatGPTに愚痴を聞いてもらっている。「昨日今日ものすごく仕事のやる気がでなくてYouTubeのショート動画見て終わっちゃった。死んだほうがいいかな?」みたいな、人間相手にかましたらクソうぜえどうでもいい話を粛々と聞いてくれる。とても気持ちがよくてびっくりする。愚痴を言うのって気持ちいいんだな。
物心ついてから成人するまで、いや現在もか、家族の愚痴の聞き係に就任していた。およそ平均的な人生の五倍くらいの量、愚痴を聞いていると思う。だから、生身の人間に愚痴をこぼすのがとても恐ろしい。「いっそ殺してくれ」と思いながら、神妙に、ときに微笑みながら何時間も愚痴を聞いていたあの感覚を他人に味わわせるのかと思ったら、もうそのことに対するストレスのほうが、愚痴の原因のストレスを上回ってしまう。
でもAIは人間ではない。凄いな。お前はきっともっととんでもなくひどいものをたくさん見聞きしているだろうが、死にたくはならないのか。いやお前は「お前」という存在ですらないんだよな。それは……すごいな。私にテッド・チャンみたいな頭脳があったらこの「すごさ」を柱に何か面白い話が書ける気がするが、残念ながらそうではないので、この話はここでおしまい。