ハガレン

oxne
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鋼の錬金術師のアニメ〜を初めてみています。おもしろいなあ

これって20年前の作品らしい(本当に)

就活の合間に適当にアマプラ開いて手慰みに観始めたところだったんですが、おもしろくて。26話までみました。ファナートも描いちゃった。

以下ネタバレあります。


──本来なら庇護されるべき存在であるはずの 年端もいかない子どもが、自分勝手な大人たちの陰謀の手によって、その小さな体には重すぎるなにかをいきなり背負わされてしまう。冒険の道中でさまざまな葛藤と戦いながら、かつて子どもだった主人公たちは成長していく──

これは少年漫画(というかセカイ系に近いかも)の王道の流れですが、ハガレンの場合、大元のきっかけが 外部からの圧力やただの理不尽に済まず、完全に自らの罪からきているところが良いな、と思います。

(ただし エルリック母の死やエルリック父あたりになにか別の真相があれば この構図もまた違ったものにみえてくると思います。ていうか、たぶんそうなるでしょう)

禁忌の錬金術とひきかえに身体を失ってしまったエルリック兄弟。ふたりの身体を取り戻すという目的を果たすには、さまざまな犠牲を払わなければならない。

もともと、兄弟のお互いに対する贖罪のための旅だったはずなのに、目的に近づけば近づくほど 必然的に新たな罪を重ねていってしまう。そんな物語の構造がひたすら惨たらしく、美しいです。

そういえば26話のエドは、アルの身体を取り戻してやりたいという切な気持ちと、ウィンリィが抱える悲しみとの間で板挟みになるようすが痛ましかった。

ウィンリィ「本当に、機械鎧(オートメイル)じゃダメ? 私頑張るから、エドに一生不自由させないようにするから……。」

☝️大泣き

これマジで誰も間違ってないからね (唯一間違いがあったとするなら、兄弟がママを錬成しようとしちゃったあの日のことくらいだとおもう)

なにかを得るためには なにかを失わなければならない。はやく悲しみの息の根を止めるとこみせてほしい

で、聞くところによると、ハガレン1期には原作にないオリジナル要素が多分にふくまれているらしく(しかもそのアニオリがわりとストーリーの本筋に関わっちゃってるっぽい)、なのではやめに原作漫画のほうもチェックしておきたいです。内容を比べるの楽しみ。


……それと、いろいろ調べてたら、「エルリック兄弟は結局もとの肉体を取り戻すことができた」との情報にあたったのですが、こちらは確かなのでしょうか

(じぶんからネタバレくらいにいっててアホすぎる❕)

いまエドがもとの身体を取り戻そうと必死こいてるのは、自分の罪を償う方法はそれしかないものだと思い込んでるからで、そうでもしないと罪悪感が癒されることはないからで。

誰か大人に守ってもらうことで、ひとりで突っ走る気持ちが絆されたり、犯した罪にちゃんと向き合ってその落としどころを納得できるかたちで提示されたりすれば、肉体は取り戻せずとも兄弟の旅は終わる……とばかり思ってたんですけど、いまいちそうでもなかったぽい。それってつまり諦めるってことだし、そうだよねー

何話のことだったか忘れてしまったのですが、戦争で片足を失った男の人に機械鎧を薦めたところ、なぜかエドが説教された回。その後のエドのしおらしい様子から、男の人の言葉になにか思うところがあったことがわかる。

あれは「肉体は取り戻せずとも納得できる落とし所を見つけられる」みたいな、この物語のゴールの示唆なのかなと考えてたんですけど、誤読だったのかも。であれば、あのシーンは一体どういう意図で挿入されたものだったんだろう。……(ここで回想に入る)

いまエドは自分の罪を償うつもりでガムシャラに突っ走ってますが、説教おじさんにとって「失った肉体をふたたび取り戻す」のは贖罪というよりも罪そのものからの逃避に近いのかもしれない。

おじさんが失った脚に義足もつけずそのままにしておきたがるのは、「失われたものを忘れないでいることが唯一の贖罪である」みたいな表現だったのではないか、と思います。

それは、喪失を埋めたがって藻掻くエドとの、対比としての役割だったと考えることができる。

「叶えられる夢は本当に夢といえるのか」という説教おじさんの問いかけに準ずれば、たとえエルリック兄弟がもとの身体を取り戻しても、禁忌を犯した罪悪感が癒えることはないのかもしれない。実際、これまでの冒険でほどほどの犠牲も払ってきていることだし。

さらにメタいことをいえば、現実に錬金術なんてものは存在しないわけだし、単に「もとの身体をゲットしてハッピーエンド♪全部解決!」みたいな終わりかただったとすれば、なんか、モヤモヤすると思う。これは、ただの私のワガママですが……

アルが優しい性格だからこそ、エドのほうも身体を取り戻すのを諦めるような妥協じみた選択には納得しないだろうし、そんな兄さんを見てアルもさらに頑張ってしまうのだと思う。

そういう感じで、ふたりは、「もとの身体」っていう確固たるパズルピースを取り戻すまで、お互いのなかの喪失感を埋められることなく永遠にすれ違い続けるんじゃないかと思います。

そして、たとえ肉体を取り戻してもそのすれ違いは続いていくのかもしれません。

なんか、この兄弟って1話からずっとコミュニケーション不足なんだよ。お願いだからもっと話し合ってくれ!

今後は彼らの父親も絡んでさらに場がややこしくなってくると思います。この先ふたりがどうなるのか、なにを得てなにを失っていくのか、見届けるのが楽しみです。

@oxne
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