陰キャの自己紹介
吾輩は陰キャである。
そしてデブである。それも、ぽっちゃりやらマシュマロ女子なんて生優しいもんではない。巨デブである。
「マシュマロというならゴーストバスターズに出てくるデカいやつ」とは私の夫の談である。
ダイエットをしようと試みたことはあるが、面倒くさがり、飽き性、運動嫌いときた上に、大酒飲みである。続いた試しもなければ成功した試しも、さほど無い。
皆無では無い。
皆無では、無い。
吾輩は腐女子である。
絵は描けない。スマホのメモ機能でちまちまと小説のようなものを書いている。
読むのは読むが大きいジャンルに属することはほとんど無く、書いているものは基本的に一次創作である。
おまけに性描写が多い訳でもない。毒にも薬にもならないと自覚している。
自分が楽しむためだけに書いているのだから、夫以外に創作仲間を作るでもなく、ほとんど誰からも感想も苦情も受けぬままそういうものだろうと思って生きている。
吾輩はレズである。
私はLGBTのL、夫はLGBTのT(FtM)である。
「トランスと付き合っているレズはレズじゃない」と言う差別心を持っているレズが世の中には存在する。
ヘテロから差別されるレズの中で、多数派のレズから差別を受ける少数派レズ。世も末である。
うっかり、マイノリティの中で更にマイノリティになってしまった。
ちなみにあくまでもFtMが好きという訳では無い。好みのタイプは家入レオである。
「旦那さんは有名人で言うと誰に似てるの?」と訊ねる意味も答える意味も理解出来ない質問をたまに受けるが、にわかせんぺいに似ています、と答えている。
愛嬌のある可愛い夫である。本人も自覚しており、にわかせんぺいのことを「福岡にいる生き別れの兄さん」と呼んでいる。
私は夫と水族館に赴いた際、夫がフグとかハリセンボンとかアザラシとかそういった生き物を指して私に似ているだとか「兄弟がいるよ!」と言ってはしゃいでいたため、私はそういったものに似ているのだと思う。
吾輩は酒飲みである。
所謂酒カス、酒クズの類である。
料理はしない癖に酒は飲む。毎日飲む。
飲まないのは健康診断の前日、夜勤中、医者など専門家から「○日の間飲まないでください」と言われた時だけだ。
夫から休肝日を求められればたまに応じて飲まない日もあるが、気が向けば応じるだけである。
吾輩は陰キャである。
数少ない友人はいるが、それ以外の他人と接触することを嫌い、プライベートはほとんど一人で生きてきた。
一人で映画を観、一人で飲み屋で酒を飲み、一人で服を買い、一人で遊んできた。
吾輩は陰キャである。
ほとんど唯一の“他人”と接触する場である職場では「趣味で小説書いてます」などと口が裂けても言えないため、小説のようなものを書くことについてほとんど人と話したことが無い。
吾輩は陰キャである。
ある日思った。「SNSは他人の考えが見られて便利だなぁ」
日々起こったイベントだとか、それについての愚痴だとか、その状況になければ経験出来ないものである。
もしプライベートでその状況へのインタビューをするとすれば、かなり仲の良い相手として、酒でも酌み交わしながらじゃないと聞けないような話が、SNSではごろごろ転がっている。
吾輩は陰キャである。
ある日思った。
知らない誰かと酒を酌み交わしたくはないが、もしかしたら、私の人生は誰かにとっての有用な資料かも知れない。
吾輩は陰キャである。
私の、陰キャで巨デブでオタクなレズの人生を「おもしろい」と思ってくれる誰かのために、少しずつここに書き溜めていこうと思う。