拙作、お手に取って頂き、ありがとうございました。山ほどの素敵な本たちに私が一番浮かれている自覚があるのですが、そんな素敵な本たちを彩る一つのパーツになれていたらとても嬉しいです。
当初はあとがきのためにページを割いていたのですが、途中読み返した時に「自我がうるせえ」となって全て削り取ってしまいました。
でもせっかく途中まで書いたしな、の貧乏性と、あとがきの無い本寂しい、という友人の意見を信じて、諸々文字数を増やして、こういった形でページを取ってみました。オマケにもなりえない物ですが、もし興味のある方がおられましたら嬉しいです。長文、パッションのみの殴り書きになりますので、興味ない方は遠慮なくタスクキルしてやってください。
※以下「こういう三リョが好き」や「こういう関係性が好き」等、色々のたまっておりますが、それによって他作品を否定する意図はまったくございません。
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スターブックスさんに魂を捧げている人間なので、今回もスターブックスさんにて印刷をさせて頂きました。箔押し、遊び紙、マット加工と、贅の限りを尽くした甲斐あって、今まで出した本の中でもかなり気に入った部類の装丁になりました。
エトランゼの方は、ざらっとした紙に押した箔なので、すこしタイトルが掠れ気味に出たところが気に入っております。第三者視点の話、ということでちょっとフィルターがかかるようなイメージで色が出たらいいな、と思っていたので、理想の出来栄えです。逆にネイバーの方は、落ち着いた色みのゴールドがパキッと映える出来になって、これまたお気に入りです。
表紙は、別ジャンル(前ジャンル)のフォロワー様にお願いをさせて頂きました。素敵な絵を描かれる方に、私の拙いイメージラフをお見せするのは、何度やっても恥ずかしく、今回はさらに「今、私はこの2人に狂っています」という十字架を晒す意もありましたので、何度も「やっぱ止めよう」の念に駆られたのですが、お願いして本当に良かったな、と思っています。
劇的ビフォーアフター
表紙の三井さんとリョータの顔は、元々カットする予定でした。表情を隠して余白を残したかったのと、お願いしたフォロワーさんがスラムダンクをご存じかわからなかったので、キャラクターとして依頼するよりも、『青年二人』と曖昧な指定をした方が書きやすいのかな、と思っていたためです。
え……
え…
思わぬところで布教が成功して、喜びの舞を踊りました。かくして私の心配は杞憂に終わり、ご本人の素晴らしい解釈の元、予想していたより何万倍も素敵なラフが届きました。
だれだよこれトリミングするって言ったやつ……
思考錯誤の跡
背景の色、文字配置、フォント、小物の場所……etc.
ああしたい、こうしたい、とわがままばかりお伝えした癖に、私がコロナでぶっ倒れ一切返事が出来なくなったりしたにも関わらず、私の要望に根気よく付き合って頂き、常に120点の回答を頂いてしまいました。依頼させて頂いたフォロワーさんには、本当に感謝しかないです。今まで作った自分の本は、本棚の奥深くに眠らせているのですが、こればかりは面陳でいっとう良い場所を提供してあげないとな、の気持ちでおります。
かわいくなって本当に嬉しい
さて、以下は短編集それぞれの着想のメモとなります。
果たしてこんなところまで読んでくださっている方がいらっしゃるのかわからないのですが、裏話みたいなものが好きな方がおられましたら、幸いです。
聡明女子の薄恋/愛し人の言うとおり
顔とかバスケとか関係なく三井さんに恋をする女の子が居たとしたら、三井さんのどこに惹かれるのかなぁ。三井さんの人を惹きつける魅力ってたくさんあると思うのですが、個人的に一番ここかな、と思ったところをギュッとしてみました。ハッピーエンド狂なので、普段は書かない、『報われなさ』とか『悲恋』を書けるのが新鮮で、物珍しく、とても面白かったです。頭では分かってるのに心が納得しない。そんなわけないってわかってるのに、どっかで希望を持っている。理性と本能の乖離は、愚かしくて、人間らしくて、だからこそすごく愛おしいな、と思います。金曜夜だろ、予定あれよ。飲み会とか合コン行けよ、高校時代の後輩なんか迎えに来てんじゃねえよ、って言うリョータと、そういう約束が山ほど来ても、全部丁重に断って高校時代の大事な後輩を迎えに行く三井さんが好きです。
嫉妬同盟の目撃/どこに居ても、君しか見えない
人の顔を覚えるのが苦手で、髪型、服装等でがらりと変わってしまう人のイメージに日々困惑しながら生きているのですが、昨年の今頃、久々に会う方と駅で待ち合わせをしていた時、相手の方がすぐ私を見つけてくれて、たいへん驚きました。それは、その人にとってはなんてことない当たり前なんでしょうが、私では到底、真似できない能力によってあっさりと見つけてもらえた自分は、なんだか特別感のある何かになれた気がして、嬉しくなったのを覚えています。「どこに居ても~」はその時の気持ちを撫でながら書いてみました。特に何も考えず、思いつくままに書きなぐった作品だったのですが、上手く交われそうだな、と思ったのでpixiv掲載済みの短編を持ち込み、加筆修正して調整をし、ペアの片割れとしてみました。私は宮城リョ―タに妹がいる、という事実に大変大変興奮をしている人種なのですが、それは女の子と普通に会話する(できる)宮城リョ―タがいる、ということだよな、と思っています。心臓バクバクでも平気なフリ。内面を隠すことに長け、ピンチでも笑って見せる。そんなリョーちんがふと本音を零す相手って、親友のヤスや、身内の誰かじゃなく、行きずりの、もう今後絶対に会わない誰かだったりしないだろうか。鼻息荒く、そんなことを思いながら書いた作品でした。
渡米少年の悪態/そしたら、目の前で言う
第三者目線の本を作りたい!と思った根源に近いのですが、私はその場に居ない人を語るシチュエーションが好きなのだと思います。そこから浮かび上がる、居ない人の輪郭が垣間見える瞬間に愛しさが宿るな、と。そこを踏まえて、離れてみないと気づけないリョ―タと、離れた実感さえ湧かない三井さんが書きたかった……ような気がします。書きたかった、であって、書けたかというとだいぶ微妙です。中学生の三井さんムーブをするリョ―タが見たいなぁ、の念もありました。この後の話にも係ることになってくるのですが、私はどうにも少年、少女と絡む三リョも好きなようです。映画で「おばあ、この人だれぇ?」と言った沖縄の子に「おお、なんだあ?」と気安く絡んだリョーちんにずっと夢を見ています。
居なくなって初めてわかる、知らず知らず他人によって形作られた自分は、本当にその人と離れてみないと気づけなくて、びっくりします。完全な余談ですが、魚には水が見えないらしく、人間にも空気は見えないので、世の中、星の王子さまでも言っていたとおり、大切なものほど目には見えないんだろうな、と思ったりもしました。
隣人少女の御伽噺/メチカブーラ
精神年齢が8歳な自覚があるので、女児を書くのは得意です(?)第三者視点のお話は、ともすればオリジナル小説にもなりかねず、あまりにも自我が出過ぎて恥ずかしくなったりもするのですが、Twitter掲載時にお優しい言葉をたくさん頂けて、ホッとした作品でもあります。可愛らしい文章、まったくもってガラではないのですが、語り手が女の子ならいいよね、の免罪符を掲げました。20代後半の三リョ二人は、少女の初恋泥棒量産機になるだろうな、と思っています。早く国で取り締まった方が良い。
青年スタッフの直感/薬指に賭けて
宮城リョ―タのこういうところが好きだー!という魅力をめいっぱい書きなぐりたくて、スタッフの男の子を召喚しました。アメリカ帰りのリョは何というか無敵なんじゃないか、とそんな気がしてます。精神的にも成長して、ちょっとやそっとの煽りにも負けなくなっていると私はすごく嬉しい。そんなめちゃめちゃ『カッコいい』リョーちんを『可愛い』と思ってくれる三井さんが居て欲しいなあ、とニコニコで思いを馳せながら書きました。
2人きりの閉じた世界観で「お互いさえいればそれでいい」な三リョも好きなんですが、私はどちらかと言うと、社会の中で生きて、いろんな人と関わりながら、チラチラと互いを見ている2人が好きなんだな、と思います。誰かに『見せつける』よりも『お互いが分かってればいい』関係。それに相応しい『証』は、アクセサリーより分かりづらく、キスマークよりは残るもの。うんうん唸って、色々と考えていた時に、フォロワさんからマニキュアの話を聞き「それだ!」となりましたので、許可を得てネタに組み込ませて頂きました。語って頂いた萌の興奮を完全再現できたとは言いづらいのですが、書いててすごく楽しかった二話です。
黒猫飼い主の疑問/甘やかな甘え
全然違うところで、なんにも関係ないところで繋がって嚙み合ってしまう2人が好きです。どれだけ年月を重ねても、どんな出会いを経ても、あの時IHに行き、山王と戦った湘北のメンバーは、あそこに居た全員にとって特別で、記憶を探さなくても手を伸ばせば届くところにある存在だといいな、と思ってます。そういえばこれ好きだったな。あ、今どうしてるかな。これアイツに似てんな。日常の隙間で弾けるささやかな火花は愛しさだなと思うし、そういう愛しさにたくさん囲まれて生きてくれ推し……、の念を詰めました。
「甘やかな~」は、以前フォロワーさんと推しCP半同棲すごろくをした時に思いついたお話でした。「どちらかが風邪をひいたらどうする?」のマスに止まった際、全会一致で「体が資本な2人なので、うつすのはマズイ。看病はしない。元気な方には実家に帰ってもらおう」と結論出たのが、倫理観がしっかりし過ぎて面白くて、大好きで、どうにか形にしたいなと思ったのが切っ掛けです。優しい人の優しさは、それにさえ気づかせてくれないように、甘え下手な人の甘えってすごく分かりづらいんじゃないか。それに気付ける三井さんがいて欲しいな、とかそんなことを思ってました。
花屋店員の憂慮/隣人を愛せよ
三リョ、山ほど喧嘩をして欲しいのですが、いつも喧嘩の理由に悩みます。どんな理由だって諍いは起きるだろうし、なにで喧嘩したって良いのですが、なんとなく自分の中でしっくりくる回答に出会えないことが多いです。じゃあもういっそ喧嘩の理由を描写しないためにはどうしたらいいかな、とセコイ考え方で、こんな形にしてみました。大人になってから『怒り』にエネルギーを使うことがホントに少なくなって、喧嘩や口論をする人を見てるといいなあ、とさえ思うようになりました。諦めて「もういいや」って捨てていく関係じゃなくて、向き合って面と向かって本音を伝えてくれる関係はホントに貴重で、三井さんとリョータにはそういう関係性であって欲しいな、と思ってます。こちらも完全な余談ですが、最初タイトルは『花屋店員の杞憂』にする予定でした。ただ、使いたかったフォントに『杞』の文字が対応しておらず、フォント自体を変えるのか、はたまたタイトルを変えるのかで、数日悩む羽目となりました。こんな簡単な字なのに……。おのれ 杞。
今読み返したらやっぱり自我がうるせえ、になりました。
こんなとこまで目を通してくれた方がいらっしゃるかわかりませんが、改めて拙作をお手に取って頂き、ありがとうございました。何一つ始まらず、何も終わらない話ばかりになってしまいましたが、私以外の誰かにも楽しんで頂けたなら嬉しく思います。本の不備(落丁、乱丁)等なにかございましたら、こちらまで。ウェーブボックスも配置しておりますので、匿名を希望の方は、そちらにお願いいたします。
それでは。