グリーンカード挑戦の道のり

pco2699
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公開:2026/3/26

2026/3/23(月)この日はたまたま会社でメールシステムのOutlook -> Gmailへの移行が週末にあり、チームミーティングで「Gmailに移行したからみんな確認してねー」とマネージャーが言っていたので打ち合わせ中にGmailを開いたところ、個人のgmailが開き(gmailのデフォルトが個人に向いていたため)、新着を確認したところ、以下のお知らせが届いていた。

「あなたのI-140がネブラスカセンターで承認されました。」

打ち合わせ中ながら心のなかで、こっそりとガッツポーズをした。

I-140とはアメリカのグリーンカードの最初のステップであり、かつ最大の関門である。ここで見られるのは、「この人はアメリカの永住権を与えるのに相応しい人ですか?」という点のみであり、ここで多くの人が通らなかったり、苦しんだりしている。このステップが通ったということは、ほぼほぼ永住権が取れる、ということである。(場合によってはここから1年 - 10年待つ場合もあるが待てばほぼほぼ取れる。)

更に幸運なことに、次のステップは、運が悪いと数年単位で待つのだが、3月、4月はたまたまこの待ちが発生しない、と移民局から発表があった。つまり、このまま次のステップに進め、半年〜1年ほどでグリーンカードが取れるのである。まさに幸運中の幸運である。

アメリカに来た移民からするとグリーンカードはドリームチケットであり、移民が多い中国やインドから来た人は10年単位で待たないと取得できない、喉から手が出るほど欲しいものである。そのため、申請や審査プロセス自体も一筋縄ではいかない。そこで、私のグリーンカードの挑戦遍歴を軽くまとめていこうかと思う。といっても私は、かなりスムーズに行ったほうだとは思う。

2024年 ~ 2025年 EB1B挑戦 ~ 失敗

2024年にアメリカの大学院の卒業し、アメリカの現地の会社に運よく就職できた。いつでも日本に帰ったったるでという気持ちで仕事をしていたし、STEM OPTの3年が切れ、打ち手がなかったら日本に帰ろうと思っていたのだが、以下の理由からグリーンカード取得を検討することにした。

  • グリーンカードが無いと奥さんが現地で働けない

  • レイオフになった場合、H1BやOPTだと出国期限があるのでのんびりできない

社内の申請フォームでグリーンカードのプロセスを始めたい人向けのフォームがあり、そのフォームを送信したところ、グリーンカードのどのパスを取るかを会社の移民弁護士が判断するアンケートが送られてきた。

具体的にソフトウェアエンジニアだと以下のパスを検討することが多い。

  • EB-1A: 最も優先度が高い、ビジネスや芸術、科学分野で類稀なる実績を上げてる人向けのパス。会社のスポンサーなしで申請できる。条件を満たせば、なんなら日本からでも申請して永住権が取れる。

  • EB-1B: 上記同様の優先度、非常に優れた科学者向けのパス。会社のスポンサーが必要で、かつ会社が認められた研究機関である必要がある。

  • EB-2 NIW: EB-2のためEB-1の次の優先度で高度な専門職向けのパス。NIWとはNational Interest Waiver(国益のための免除)という意味で、アメリカの国益になる研究や事業に携わっており、それを裏付ける実績のある人が、国益のため後述するPERMのマーケットチェックのプロセスをスキップできる、という建付けのパス。これも会社のスポンサーなしで申請できる。

  • EB-2 PERM: 高度な専門職向け。会社が「この人材は国内では採用できないのでアメリカに留めたい」と建付けで申請する永住権。そのため、マーケットチェックというプロセスがあり、実際にその人のポジションを公募して、応募が来ないことで上記の建付けを証明する。レイオフの相次ぐビッグテックだと上記の建付けがそもそも通らないので、近年ビッグテックで取るのはかなり厳しい。

PERMは会社の状況によって取得難易度が異なるのでこれを除いて、取得難易度(=どのくらいすごい実績を積んでる必要があるか)を勝手に主観でランク付けすると

EB-1A >>> EB-1B >>>>> (超人 / 凡人の壁) >>> EB-2 NIW

と言った感じで、わりかし凡人よりの自負があった自分は「EB-2 NIW」でいけるといいなぁ、と思いつつアンケートに回答をした。そしたら、まさかの移民弁護士は「EB-1Bでいく」と言い始めた。

正直この通知を受けたとき、内心「いやいや絶対ムリやろ... NIWで行かせてくれよ...」と思ったのだが、移民弁護士の方が自分より経験があるし、弁護士が言ってるなら勝ち目はあるんだろうな、と思ったので一旦、乗ってみることにした。

が、今振り返ると、この判断は誤りであると思う。コンテキストを追加で説明すると、会社の移民弁護士は、めちゃくちゃ評判が悪く、コミュニケーションはボロボロ、グリーンカードが却下されてもろくにフォローアップしない、など社内のフォーラムでさんざんな評価であった。あとで詳しく説明するが、結局グリーンカードは会社の移民弁護士は全く使わなかった。

2024年6月 ~ 9月は主にこのEB-1Bの推薦状集めに四苦八苦し、自分の論文を引用してくれた謎の中国の大学の謎の人にDMをしまくるも一切返信が帰ってこないので、結局、身内に頼ったり、CMU時代の恩師の知り合いに推薦状を頼んだりした。自分の論文を引用してくれた人で唯一、推薦状を書いてくれたのはヨーロッパからUSへ移住した人なので、USの移住の苦労を知ってる人のほうが返信はくれるのかもしれない。

結局、推薦状は5通集め、2025年の3月にようやく移民局に申請したのだが、すぐに結果が帰ってきて、「NOID」という結果が帰ってきた。

NOIDというのは、Notice of intent to denyの略で、ようするに「このままだと落とすけどどうする?」という通知である。インターネット上を調べると、NOIDからの逆転承認もあるにはあるそうだが、相応の労力が必要で、かなり大変そうである。

この結果を受けて、会社の移民弁護士は頑張ってこのNOIDに返答してくれるのだろうな、と思ったのだが、蓋をあけると「今回は運が悪かった。半年後にrefileしよう」と言われた。

この時点で自分は「会社の移民弁護士に頼るのはやめよう」と判断し、外の移民弁護士事務所でNIWをやることを決意する。

この判断は、正しかったと思う。実際に、半年後にrefileする、と言っていたのでその時に弁護士に連絡したところ、refileどころか、なぜかPERMが始まったので心底あきれてしまった。

2025年 NIW挑戦

上記の絶望状態から、社内フォーラム等で、「会社の弁護士はマジイカれてるからバックアップで外の弁護士事務所でNIWやったほうがいいよ」という話もあり、外の弁護士事務所に話を聞きに行くことにした。

Redditや社内フォーラムを調べた限り、外の弁護士事務所は2大巨頭と有象無象の小さな事務所という感じで、以下が2大巨頭である。

とりあえず、調べた感じ一番評判がよさそうなChenに話に行くことにした。ChenはNIWの承認率99%という数字を誇る、おそらく最大の弁護士事務所でEB-1AやEB-2 NIWの申請を行っている。

このNIWの承認率99%というのは、からくりがあり、事前にChen側で、プリスクリーニングをし、確実に行けそうな人しか契約しない、というやり方でこの高い承認率を担保している。しかも、確実に行けそうな人には、「Refund or Refile」と言って、もしRejectの場合には返金や再ファイルをしてくれ、かなり手厚いサポートをしてくれる。

そのため、プリスクリーニングで通ると、かなりNIWは通る見込みが高い、と言ってもよい(それでもRedditではChenでRejectを食らった人はたまに見かけるが。)ただ、注意点として、Research Oritentedらしく対外的な論文や論文発表をしていない、とサポートしてくれない、という噂。(Industry Orientedでエンジニアでカンファレンス発表や技術書を書いてる人はサポートしてくれるか不明。)

で、実際にChenにGoogle Scholarや実績を送ったところ、Refund or Refileでサポートするとのことで、契約することに決めた。確か費用は$5kほどだった記憶。

ChenとNIWの準備をしたのだが、数を大量にこなしてるだけあり、プロセスがstreamlinedされ、しかもシステム化されておりめちゃくちゃスムーズであった。会社の弁護士とはexperienceが段違いでよかった。

出てきた書類も一通り目を通したが、非常によく書けており、「これは確かに通りそうだな...!」と確信した。

3月~8月で書類を一通り揃え、2025年9月に移民局に申請した。ここから通常は2年ほど承認まで時間がかかる。Premium Processing(PP)と言って、$2k払うと1~2ヶ月で結果が出るやり方もあるのだが、このときは特に結果が早く出てもどのみち、その後2年ほど待つ見込みだったので、PPは申請せず待つことにした。

2026年 PP申請 ~ 承認

9月に申請して、あとはのんびり待つだけだな、と思っていたのだが、2月にグリーンカードの待ち行列に変化があった。

承認の後の待ち行列がゼロになったのである。

つまり、結果が出たあと2年待つ、という話だったのが、突然「結果が出ればグリーンカードがすぐに手に入ります!」という状況になったのである。しかも、この状況はいつまで続くかわからない、数カ月後、また2年待ちになる可能性もある。(retrogressという過去にも発生したことがある、とのこと)

ちなみに、突然2年からゼロになった理由としては、トランプが75のリスクのある国に対してビザの発給を停止したことによって、この75の国の人たちのグリーンカード申請も後回し or rejectになり、突然待ち行列が解消されたのでは、というRedditの噂であるが、あくまで噂の域を出ない。

そのため、PPを行う正当な理由ができたため、自分は速攻で$2kを払い、PPを2月23日に申請した。

ここから1ヶ月 ~ 3ヶ月で結果が出るのだが、この間は正直やきもきした。Redditのr/EB2_NIWを見ると、自分よりすごそうな経歴の人たちがRFE(Request for Evidence 追加証跡の要求)やDeniedとなった、というスレッドが立ち並んでおり、「自分よりすごい人がこれなら自分は。。。」ととても不安になった。RFEも、推薦状を追加で4枚依頼した、など例を聞き、かなりの労力がかかりそうだった。

結果的に、最初の話の通り自分はRFEも何もなくすんなりと承認されてよかった。


というわけで上記の通り、幸運に幸運が重なりグリーンカードの承認を得ることができた。この幸運が正直、このプロセスだけでなく、学生時代の研究やCMU時代の恩師や周りのおかげと言ってもいい。

自分は、正直、本当に大した実績ではない。だけど、運よく学生時代の研究室がチームで研究をすすめるところで、チームメイト(特に上と下がめちゃくちゃ優秀だった)が優秀だったため、論文や受賞がもらえたりした。あと、CMU時代もたまたま、夏の暇なときにコンパイラというCMUのCSで一番エグいという噂のクラスを一緒に生き抜いた盟友と、なんか面白いことしたいね、と言って、WebAssemblyの発案者の研究室に話を聞きに行ったら、なぜかその教授が「論文を書くのを手伝え」と言い出し、論文の共著者にまでしてくれた。

そういった幸運の積み重ねで、対外的な実績ができ、NIWの承認が通ったので、本当に学生時代やCMU時代の恩師や仲間には感謝をしてもしきれない。

これから、最後のステップで細かい書類仕事があるので、最後まで手を抜かずグリーンカードが無事に手に入るよう頑張りたい。