前回の記事で以下のように書いたのだが、今考えると、これはチーム移動の要因の50%は占めてる気がしたので、やはり考えをまとめておいたほうがいいと思ったのでまとめておく。
マネージャーや一部のチームメンバーへの不満もあるっちゃあるのだが、ここに書いてもしょうがないのでそれは心の中にしまっておくことにする。
前のチームのマネージャーはピープルマネジメントのピの字もない人であった。アメリカに来て初めてのマネージャーということもあり「外資系のマネージャーってそういうもんなのかあ」って思ったけど、他の人の話を聞いたり、今のチームのマネージャーと話すとこれは大きな間違いであることに気付かされた。
これを象徴する出来事が「モンスター新人に対して一切のアクションを取らなかったこと」であり、これからこの記事は「このモンスター新人に対して、どう対処すればよかったのか」を主題に扱う。
モンスター新人というと悪意がある新人を想起させるが、私の意味するところは「少なくともSWEとしては無能な新人」という意味であり、本人に悪意はおそらく無い。しかし、絶望的なまでに無能である。
どれくらい無能なのかを以下に例を列挙する。
ソフトスキル
ドキュメントやコードベースを読まない
入って半年にもかかわらず、チームの人がまず一ヶ月目で必ず覚えるはずであろうコマンドがわからない、覚えていない
質問の要点がわからない
質問をしてくるのだが、質問の分がとにかく長い上にどこに要点があるのかまったくわからず、すべてを読んでもなにを質問しているのかわからないことすらある
AIを変なタイミングで使う
コードレビューにて
「ぼく:ここ継承つかってねー」「新人:わかりました」
再レビュー「ぼく:直ってないよ?継承ってどういう意味かわかる?」「新人:大変失礼しました!継承ですね、もちろんわかっています!(今までに考えられないほど饒舌な英語が返ってくる)」
技術力
コードとconfigの違いをわかっていない
コードとconfigのリリースサイクルがわかっておらず同じように気軽にリリースして障害を起こしかけ自分がフォローアップすることになった
OOPの基礎的事項を理解していない
少なくとも実装と継承の違いを確認したが説明できなかった
プロジェクトの考慮事項が不足している
非常に簡単なDBのカラム名変更(新カラムを追加して旧カラムから移行する方式)について、既存のデータ移行を一切考慮せずに敢行しようとした
その他
基本的な英語スキルが怪しい
スピーキングはかなりたどたどしい。ライティングは、時制を間違えるので混乱する。(I do it now と現在系で書くのだが、本人としてI've done it now(いまやったよ)とI'll do it(これからやるよ)のどちらの意味でも使うらしく、やるのかやったのかわからない)
例をあげたが、これ以外にも多数あり、枚挙にいとまがない。
とにかく質問の質が悪いのが致命的で、外資系では「there is no such thing as a stupid question」と言われるし、これに自分も意見相違はないのだが、彼から質問を受けると、残念ながら「これはstupid questionだろ」と思わざるおえないことがある。
質問の意味がわかったとしても、質問された相手が対処できない質問をしてくることがままあるし、質問をする前の宿題をやっておらず、他の人から聞いたことを丸々自分に投げてくるような質問の仕方をするのである。
悪いところを上げてきたので、よいところを強いてあげると、述べたとおり無能なだけで悪意はないので、いいやつであること、コードを書く能力はなぜかありそうなところ、か。(だからインタビューは通ったのだろうが、でもOOPもわからずにインタビューが通るのはインタビュープロセスがなにか間違ってる気がしてならない。)
コードが書ける能力もAIを使える今、霞んで見える能力であり、彼はSWEとしては「AIに淘汰されるポジション」にいることは間違いない。というかコードが書けるならコードを読んでほしい。
前回の記事でも言った通り、私は以下の状況で非常にストレスアウトしてたので、こんな新人を抱えて発狂寸前であった。
通常一ライン一つのデバイスのところを自分のラインは最終的に7デバイスに膨れ上がり、自分の担当範囲がかなり広がってしまった。
そのため、マネージャーには、1:1中に実際のコードレビューの内容とともに以下に通り報告した。
「彼はSWEとしての基本的な知識や能力が欠けており、オンボーディング期間中だからと言って野放しにするとチームに悪影響が出ます。今すぐにクビにするべきです。」
と言ったのだが、マネージャーは
「彼はまだ入って二ヶ月だ、まだクビにできない」
と言われた。このチームで働くモチベーションの糸もぷっつりと切れた音が聞こえた。
さて、ここからどうすれば「このモンスター新人をどうすればよかったか」という話になるのだが、まず自分が彼に実際にやったことをまとめる。
①気づいたらすぐにダイレクトにフィードバックする
気づいたことは基本的にフィードバックするようにした。例えば、英語のスキルの例に関してはEnglish Grammer In Useをやれ、と言ったし、質問に関しても、丸投げではなく、自分で情報を処理して上で質問をしろ、とフィードバックをした。(後者についてはどこまで理解したのかは不明である、あまり改善も見られないし)
②聞かれたことは文書で包括的に返す
自分は当初、彼がリスニング能力が足りていないので、自分がスピーキングで質問にバババと返すと聞こえてなくて理解してないのでは、と思い、一個質問があったらそれに対して包括的な文書を作って送り返すようにしていた。(AIもあり簡単に作れる時代なので)ただ今思い返すとそもそもそれも読んでなかったのでは、と思う。
だいたい、このぐらいで、ここから「どうすればよかったか」をまとめたい。
まずは「会社に生かす方向」の場合
①専門のコーチングの人を雇う
もし、本格的に彼を鍛え直す、となった場合 やはり専門のコーチングの人を雇って彼を鍛え直してもらう必要があったと考えている。自分も、もっと彼に時間を費やしたほうがいいのでは、費やすべきではと思ったが、業務で100%の時間を使っている中ではそんなことはとてもできなかった。
次に「クビにする方向」の場合
①2ヶ月目の時点でマネージャーが動かなかった時点でスキップに報告する
これはやっておくべきことだったとかなり後悔している。いろいろ人と話すと、「マネージャーが使えない場合のスキップ」の有用性の話を多方で聞くし自分はスキップとそこまで仲良くなかったのでこの選択肢はなかったのだが、これはやっておいた方がよかったと思っている。
②2ヶ月目の時点でHRに報告する
HRは基本あまり協力的でないという話なのでやはりここは①を優先する話になるかと思う。
だいたいこんな感じだろうか。チーム移動した後も彼はわけのわからない質問をしてくるので、未だに戸惑いとマネージャーへの苛立ちはあるのだが、マネージャーと最後に話したところ
「何かしらのアクションを取り始めた」
と言っており、ようやくPIPかなにかに入ったということかもしれないので、何かしらの結果がでることに期待をしている。