今日はシャウレイにある十字架の丘を見に行く。シャウレイはラトビア方面に200kmほど戻った場所にあり、距離だけだとヴィリニュスよりもリガの方が近い。シャウレイに泊まることも考えたが、昨日から毎日ホテルを変えてるし、何よりシャウレイのホテルはそんなに良さそうなところが無さそうだったので、ヴィリニュスで二泊する計画にした。
バスターミナルに近い所にある鉄道駅に向かう。6:30発の電車なので今日も相当早起きしている。今回の旅で鉄道に乗るのはヘルシンキのメトロ以来だ。電車はかなり昔ながらの見た目をしていて風情がある。車内は広々としておりバスよりはかなり快適。ここから2時間程乗ってシャウレイに向かうことになる。
シャウレイに到着。Web記事にシャウレイは治安がいまいち、というような記事もあり若干不安があったが、実際は全く問題なさそうだった。大学が近くにあるのか、他の町と比べて学生が多い気がする。十字架の丘に向かうには、ここから更にバスでドマンタイという駅に移動しなければならない。バスターミナルで時間を調べたが、タイミングが悪く次の発車は1時間後だった。それも料金は現金払いのみらしい。初日で両替した通貨を最終日目前になって初めて使うことになる。
(券売機でバスの時間を調べたメモ)
(どこに行くか不安になるバス時刻表。時刻の下の小さい数字は曜日を表しているらしい。)
ターミナルで座っていると、旅行者と思われるカップルにリガに向かうバスの乗り方を聞かれた。自分はヴィリニュスに電車で帰る予定なので詳しくは分からないんだ...とか説明しつつ行き方を調べるのを手伝った。今は朝9時だが、リガ行き伸ばすはどう調べても21時発しか無い。どうやらいったんヴィリニュスに行ってそこからリガに直通するルートしかないらしい。電車のチケットはインターネットで買えるよ、と説明したが彼らはクレジットカードを持っていないらしい。どうやって現金を調達しているのだろう、クレジットカードがない旅行で今まで大丈夫だったんだろうか・・・と考えてるうちに、結局何とかするよ、と返された。よくわからないけど何とかなったらしい。
バスを待ってる間に二人と世間話をした。インド人男性と台湾人女性の夫婦?らしい。二人で台南に住んでいて、男性がヨガインストラクターをやって女性はその事務の手伝いをしているとのことだった。インド人のヨガ講師ってちゃんと存在するんだ、とちょっとテンションが上がる。日本でインド人がやってるヨガ教室ってあるんだろうか。自分のヨガ教室にも日本人がいるよとのことでFacebookで日本人の知り合いを何人か教えてもらったが、もちろん知ってるわけもない。インド人男性は中国語を流暢に話していた。世界には変わった夫婦がいるもんだなと感心する。
バスが到着し、ドマンタイに向かう。バスというより、ホテルの送迎に使われるような小さいバンだった。15分程乗って到着したが、降りたのは自分と先ほどのカップルだけだった。バス停の周囲を見渡したが本当に何もない。事前に読んだブログによると15分歩けば着くと書いてあったが、Google Mapで調べてるとどうやっても30分はかかるほど離れていた。天気はもはや吹雪一歩手前という感じで、一番辛い。タイツやサーマルニットも着てこなかったので体感温度だけでいうとイナリの時より寒く感じる。油断したなあと後悔した。カップルは自分より一本早いバスで帰りたいらしく、急いでるからと駆け足で向かっていった。
(十字架の丘までの道。写真左の道を延々と歩き続ける)
しっかりGoogle Mapの通りの時間をかけて、十字架の丘に到着した。結局現地にも誰もおらず、自分とカップルの3人だけで周ることになる。丘は思っていたより狭く期待外れな感じだったが、10万本も突き刺さっているという十字架の密度に凄みを感じる。十字架1つ1つにもいくつものロザリオが掛かっており、吹雪に吹かれて不気味な音を奏でている。栃木の那須には千体地蔵という地蔵の集合体があったが、そこと同じような集合物特有の不気味さ、執念みたいなものを感じる。出発前に計画していた観光地はこことオーロラだけだったので、改めてリトアニアに来れてよかったと思いなおした。
(十字架の丘 正面にインド人男性の後ろ姿あり)
冬季はオフシーズンなのか、近くのインフォメーションセンターは休業している。近くに参拝用の教会もあったらしいが、どう見てもそこに至る小道が水没している。1時間半ほどいるつもりだったが、さすがに雪よけのない外でずっとここにいるのはきつい・・・結局、カップルと一緒に一本早いバスで帰ることにした。去り際に二人に声をかけてお互いの写真を撮りあった。どこかのタイミングでインスタとかに乗るだろうか。ここで写真を撮ってる間にちょうど一眼のストレージとフィルムカメラのフィルムを使い切った。ここまでで一眼は430枚、フィルムは30枚撮影している。現像がとても楽しみだ。
帰り道のバス停、Google Mapの案内とバス停の案内の時刻が異なりやきもきしてたが、結局Google Mapの方が正しく時間通りバスが来た。二人と別れのあいさつし、とりあえずコンビニで適当なホットスナックを買って食べる。帰りの電車まで時間が余ったので近所を散策することにした。チョコレート博物館があったので、お土産も買えるかもと思い入ることにする。国内ではルタというブランドが有名で、その企業が運営しているらしい。リトアニアとチョコレートの関係が説明されるのかと思いきや、ただ南米でのカカオの収穫方法や製造過程が展示されているだけだった。しかもあらかた日本のテレビ番組で見たことあるような内容だったし... 隣接するカフェで、博物館の展示にあった南米アステカ時代のチョコドリンクを飲む。当時はチョコレートはスパイス等と混ぜてホットドリンクにして飲んでいたらしい。スパイスが入ってると聞いたのでチャイを想像したが、いざ飲んでみるとカカオの苦みと唐辛子の辛さの味しか感じず、甘さが全くなくてそれほど美味しくない。一番の誤算はホットドリンクだと聞いていたのに冷たい状態で出されたことだった。併設されたお土産店でチョコレートを買って退店した。
(南米ぽい入れ物に入ったチョコドリンク)
15時になりLTGに再度乗る。帰りの電車は古いタイプの車両だったようで、行きよりさらに雰囲気のある車両だった。車両の座高が高く、乗車のための段差が急で全然バリアフリーではない。乗務員の人が乗車する客の乗り降りを手伝っていた。座席は半個室のような形で、ちょうどハリーポッターのホグワーツ特急の席を簡素にした感じ。高齢の女性と相席だったが、こちらには全く興味がなさそうだった。旅行記の清書や読書をして時間を潰す。
(リトアニア鉄道。見た目がカッコいい!車両が高い位置にある)
ホテルに帰宅。最終日は贅沢したかったので、友人に進めてもらった肉料理のレストランに行った。数分歩いて到着したが、外から見るとだいぶ繁盛してそうで満席みたい。並んだら入れそうな感じでもあったが、この盛況した町のレストランの中で1人で食べるのは結構気後れする。客単価も低くなっちゃうし。ステーキは食べたかったのに...と足を引っ張られつつ、ホテルに戻り、ルームオーダーで部屋食することにした。ずっしりしたものを食べたかったのでハンバーガーを注文したが品切れだったらしい。結局かぼちゃとキノコのソテーみたいなものを食べる。量が不安だったがだいぶ満足した。
(豪華な部屋食、後から見るとそんなに豪華に見えない)
毎日違う国・場所に行くとその都度交通事情を調べなきゃならないし、さらに調べたたとて本当にたどり着けるかいちいち不安になったり、心配性の自分にとっては都度緊張してしまう。だがそれも、ほとんどの日程を消化したことでようやくストレスから解放された気持ちになる。後は明日のビリニュス空港に行くだけだが、同じ鉄道に乗るだけなのでどうとでもなるだろう。10時発の電車に乗ればよいので明日朝もゆっくり過ごせそうだ。