
全くと言っていいほど弾かなくなったが、それでも時々様子を見る必要がある。久し振りにケースを開けて外気にあてた。
ルネサンスリュートは若い頃に習っていた。この珍しい楽器を演奏している方を県内で奇跡的に見付け、お願いしてレッスンに通わせていただけることになった。先生のお宅と私の家は140kmくらい離れていたが、リュートを習えることが楽しくて距離の遠さは気にならなかった。
しかし、その幸運も長くは続かなかった。私は自宅から離れた遠方の企業に正職員として採用されることになり、転居した。そこは先生のお宅に近い地域で、職は見付かるわレッスンにも通いやすくなるわでホクホクしていたが、その就職先が絵に描いたようなブラック企業で精神を病み3年で退職、レッスンも中断せざるを得なくなった。それから数年経過し私の体調が上向いた頃、今度は先生のご家族や先生ご自身が体調を崩されてしまい、またしてもレッスンが出来ない状態に。以後、レッスンが再開されることはなく、先生は50代という若さで逝去された。
せっかく楽器もあることだし出来ればもう一度習いたいが、演奏人口が極めて少ないリュートの教室など探しても見付かるものではない。この田舎に先生がいらしたことが奇跡のようなものだ。その先生はどなたに教わったのかというと、遠く離れた関東まで新幹線で通い習ったとおっしゃっていた。そのような時間も財力も私にはない。関東ではなくせめて近県にないかと探してみたものの、今のところ見付かってはいない。「古楽ブームでリュートの愛好家が増えた」などという報道もあったが、それは都会の話だろうな。