嫌いな人の誕生日

LINEのホーム画面に表示される「もうすぐ誕生日のお友達」。そこに嫌いなママ友の名前を見つけて「あ」と思った。

私はあまり積極的に人を嫌わない。そのママ友のことも別に最初は嫌いではなかった。(好きでもなかったが)

どうしてLINEを交換したのか今となっては覚えていない。LINEを交換したが最後、そのママ友はことあるごとに私に私生活の愚痴を送ってくるようになった。幼稚園の愚痴、他の保護者への愚痴、義父母の愚痴。よくもまぁそんなに愚痴が出てくるものだと思いながら、最初は私も「大変だなぁ」と思って返信していた。明らかに病んでいると思うような症状もあったため、カウンセリング行った方がいいよ、とか、義父母さんのことはお連れ合いに言ってもらったら? とか。それは違うんじゃない? とか。いや別に幼稚園の先生はそんなこと思ってないと思うよ。とか。私は面倒くさいながらもその都度それなりに向き合って色々返信し、提案もしたが、彼女は結局何一つ私の提案を採用しなかった。いわゆる「でもでもだって」である。

鬱だったときにそれを聞くのがしんどいときは正直にそう言った。「今、うつの治療中でそういう愚痴はしんどいから聞けない」と。すると今度はナチュラルに普通の会話から愚痴へと移行し「あっまた愚痴っちゃった。ごめん」という高度な愚痴テクを披露してきた。

私は理解した。あぁ彼女は別に私に意見を求めているだけではなくて、ただただ「うんそうだね、そうだね。あなたの言うとおりだね。あなたはちゃんとやってるよ、すごいね」って聞いて欲しいんだ。別にそこに「私」は必要ない。「聞く」という機能だけを求められている。

心底その人とのLINEが嫌だったが、子どものことがあるのでブロックできない。そういうことを信頼できる友達に愚痴っていた。愚痴が愚痴を呼ぶなんて不毛だな、申し訳ないなと思いながら。そして愚痴を聞いてもらう中で友達がポロッと言った一言が決め手になった。

「まぁ、いうてその家業、非課税やしな」

小学校が別になることは分かっていた。私はだんだんそのママ友のLINEをスタンプで返信することが多くなり、徐々に未読スルーが増え、既読スルーすることさえあった。(恐ろしいことに既読スルーしても彼女はLINEを送ってきた)そしてこの間、連れ合いが近所でたまたまそのママ友と会い、その後連れ合いの方に「お母さんにもよろしく」と言う旨のLINEを送ってきたことで、自分が彼女からのLINEを一年以上未読スルーしていることに気づいた。(非表示にしてそのまま忘れていた)

LINEのお知らせによると、その人はもうすぐ誕生日らしい。前向きに全く知りたくない情報だった。是非ともLINEには、選択した人物の「誕生日お知らせオフ機能」を検討して欲しい。

【追記】誕生日当日にトーク欄の一番上(広告とかが表示される場所)に「お誕生日おめでとう!◯◯(嫌いなママ友の名前)!」と出てきて堪えきれなくなって運営のお問い合わせ的なやつから「任意の友達の誕生日お知らせオフ機能」を提案してきた。

@pieko
ぴえーるまるこおにぎりと読みます。◯子の◯は記号の、大きい方の◯です。lit.link/pieeeeerumaruko