風が強い日。時折ベランダの窓が外からの圧力に耐えながら、コキッとかポシッみたいな音を発している。夕方6時過ぎ、mを待ちながらキッチンで軽く夕飯を摂る。窓の外はもうすっかり暗い。7時過ぎにインターフォンが鳴る。モノクロのモニター越しに写る彼女を確認してエレベーターホールに続くドアを開錠する。しばらくして玄関に到着したことを伝える呼び鈴がなりドアを開く。
ヘリノックスの椅子の畳み方が分からなかったので、畳み方を教えてもらいながら袋に収納する。椅子が収納された袋と化粧品ポーチが入った紙袋を渡して用事は済んだ。まだ私がこの部屋に越してきたばかりの頃、ソファがない部屋に２人で過ごすために借りた椅子。ベランダでもう一脚の椅子と一緒に外にだして、富士山を眺めながらお酒飲もうねって話してたけど、ついに叶うことはなかった。
