朝。雨降りの中、紺色の傘を差していつものスタバに向かう。敷き布団が身体の上に覆い被さっているかのように全身がズッシリとした重量感をもっている。のそのそと一歩ずつ目的地に向けて足を進める。こうもり傘と呼ばれているらしいこの傘はもう10年以上前に丸の内にある丸善で購入した。傘といえば出先で突然の雨に遭遇した時の間に合せで、コンビニでしか買ったことがなかったのだが、これからはもう少し大人っぽい装いをしたいなと思い背伸びをして買ったのを今でもよく覚えている。その頃はやたらと着飾ることに力を注いでいた。良い物を身に纏えば空虚な自分を誤魔化せると信じていたのかもしれない。