真っ暗闇の寝室。誰かに呼ばれたような気がして、ふっと瞼が開く。枕元に置いてあったiPhone を手繰り寄せる。ディスプレイに表示された時刻は「00:31」。緑色のメッセンジャーアプリのアイコンを見ると赤い丸の中に数字の1が表示されていた。(私はメッセージを未読のまま放置するのが気持ち悪いので、基本的には受信したメッセージは即刻目を通すことにしている)
アプリを立ち上げると一時間前に着信が残っていた。着信を残した相手がすでに寝ていることを考慮して短いメッセージを送る。
「どした?」
すぐにメッセージは既読になりポンっという音と共に返信が来る。チャットルームにはどんどん言葉が埋め尽くされる。しかし何回かラリーをすると、部屋は最初から誰もいなかったんじゃないかという静寂に包まれた。私はiPhoneの着信音のボリュームを少し大きくした後に元の位置に戻して、再び眠りについた。