近所の耳鼻科で花粉症の薬を貰ってそのまま福田さんのお店に歩いて向かう。お昼前の水道道路は日差しが暖かいというより少し強いくらいで、ちょっと眩しい。冬だけどサングラスかけてくれば良かったかも。
目的は一日限定で振る舞われる山形の鳥中華とイベントに合わせてお店を手伝うことになっている友人S。今は横浜で花屋を営んでいる彼と出会ったのは大学一年生の夏休み、湘南の地元小学生を対象にした海の水泳教室だった。元々会の受講生だった彼は当時高校を卒業したばかりの専門学生で、私と同じく指導員として会に参加していた。講習中は真面目に小学生たちを指導しつつ、講習が終わると一緒にお酒を飲んだり花火したり。たまに旅行に行ったり。過去の記憶は美化されるというけれど、とても良い青春の思い出だ。私は大学卒業と共に転勤で会とは疎遠になってしまったため、彼とは実に十数年ぶりの再会である。
お店に入って見かけた彼は少し膨よかになっていたけど、人懐っこい顔立ちは変わらぬままで、一目で彼とすぐ分かった。「久しぶり!」私が声を掛ける。彼はほんの一瞬目をぱちくりした後に私を認識したみたいで、「久しぶり」と返してくれた。カウンター越しにお互いの近況を報告しあい、ビールを舐めながら奥の席で麺が茹で上がるのを待つ。
ビールグラスが空になる頃に私の分が出来上がったみたいで、声が掛かる。器越しにスープの熱々ぶりが伝わってくる。鳥中華は元々お蕎麦屋さんの賄いラーメンとしてのルーツがあるためか、醤油ベースのスープは和風出汁が効いている。水菜、白葱に細かく刻まれた柚子が良いアクセントになっていて麺を啜る箸が止まらない。ホロホロになった鶏のもも肉も口に優しい。気づけばあっという間に丼は空っぽになっていた。あー美味しかった!お店が賑わってきたので、最後にSとハイタッチしてお別れ。久しぶりに会えて嬉しかったよ、また会おうね。
👆普段は古着が置かれているスペースは簡易的なカウンターになっていた🍜