リベイキング(し忘れる)

カフェイン
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ライフタスタイル雑誌の通算1000号を記念して作られた移動図書館を横目に、ビルのエントランスをすり抜ける。足早にロビーに繋がるエスカレーターに乗る。前の人の背中を見続けてしまうのも億劫なので、なんの気なしに視線を横に移す。上の階から降りてくる人たちの佇まいが完全に洗練された都市生活者そのもので、ここが東京のど真ん中だという当たり前のことに気が付かされる。

ロビーに到着。首からぶら下げたIDをフラッパーゲートにかざすと、ゲートが開くと同時にキンコーンという乾いた音が鳴る。ここを通るたびにオフィスワーカーの仕事に温もりなんて必要ないんだと言われている気になる。

エレベーターが16階に到着してオフィスに足を踏み入れる。東京駅の駅舎を真上から見下ろせる席に座り、パントリーから持ってきたクロワッサンを口に運びながら窓の外を眺める。新幹線に乗ってどこか遠くに行きたい。誰も自分を知らない街で生活を始めて、人間関係を一から作りたいと思った。

@piyogator
いっつも目がしょぼくれてる