新宿中央公園の一角では朝6:30から近隣住民がラジオ体操をしている。脇を通りかかる際にパッと参加者の顔を見ると、皆さんどこか清々しい表情をしながら身体を動かしている。小学生の頃、夏休みに学校の校庭でやってたラジオ体操なんてほとんど行ってなかったくせに、いまはちょっと興味がある。きっと今の私は、ほんの些細なことでも良いから気の合う誰かと一緒に何か楽しいことをしたいんだ。
いっつも混んでるスタバも朝イチに行くと席に余裕がある。パソコンとマグカップを置いても平気な大きさのテーブルを取って、レジでホットのアメリカンを頼む。まだ店内がバタバタしてないからか、店員さんも和かな気がする。ほんといつもお疲れ様です。朝イチにブラックコーヒーを身体に入れると一気に集中力が出る。課題のエッセイを書いて、Kindleのアプリで蟹の親子さんの新刊を読み始める。
今日は会社に行く日。早く帰って支度しようとお店を後にする。ふと、眼前に広がる枯れた芝生に目をやると、まだら模様に露出した土肌の一部が少し隆起して、まるで粉砂糖をふりかけられたガトーショコラのようになっていた。霜が降りている!足早に近づいて、スニーカーのソールをそっと強く押し付ける。
ゴリッ、ゴリッ、ゴリッ
小さな破壊衝動を満たすことで、この2週間、ポツポツと溜まっていた行き場のない思いを振り払えた気がした。
---
会社帰りに急に家系ラーメンが食べたくなってしょっぱい小麦と脂でお腹を満たす。借家までの帰り道。ぼんやり歩いていると、にわかに自分の肉体が返ってきたという実感が込み上げてきた。と同時に悟った。普段の日常が戻ってきたんだ。これでもう身体が根こそぎ持っていかれるような喪失感に苛まれることはないだろう。脳裏に浮かぶ彼女の輪郭が朧げになっている。そのことだけはちょっと寂しかった。