タイトルだけは知ってて長編なのかなって思ってたら、実際は短編でちょっと驚いた。
でも拍子抜けしたって訳じゃなくて、表題の伊豆の踊り子も他短編も良かった。好きな話。個人的に雪国より好きかもしれない。
後書きで三島由紀夫が川端康成の作品について解説してた事が「まさにそう！」って思った。
『断片ではなく、大きい結晶をどんなに砕いても小さな結晶になるように、小説の長さと構成との関係は深く考えるものでもない。』
どの話も至って客観的に登場人物や心象風景を書いてあるけど、断片にならずにちゃんとドラマ性とか話の奥行があるところが良いなぁと思う。それがまた文字に書かれてないところで分かるのが、透明感を持ってて読後にしんみり爽やかな気分になるからジーンと来る。