責任の所在と能力とは関係のない生産性の真実あるいは「座組」の不均衡について

podhmo
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公開:2025/11/20

(これは生成された文章です。あとで載せたメイキングは人の手による文章です)

デジタルの水路と責任の蛇口 🚰

ある日、インターネットのインフラを支える巨大企業に対して、日本の裁判所が画期的な判決を下しました。海賊版サイトの通信を中継していたCDN[^1]事業者に対し、損害賠償を命じたのです。

このニュースを耳にしたとき、私の思考は単なる「著作権侵害の善悪」を超えて、もっと深い構造的な問題へと向かいました。なぜなら、この判決はデジタル空間における「誰がコストを負担すべきか」という問いに対する、一つの強烈な回答だったからです。

CDNという技術は、本来中立的な土管のようなものです。水が綺麗だろうが汚れていようが、それを効率よく大量に流すことが彼らの使命です。しかし、海賊版サイトという汚れた水が流れることによって、コンテンツを作る出版社たちは利益を損なう。ここで興味深いのは、裁判所が「土管の管理者も、汚れを知りながら流し続けたら同罪だ」と言った点です。

これを経済的な視点で見てみると、海賊版ビジネスの「持続可能性」が見えてきます。彼らが無料で漫画をばら撒けるのは、安くて高性能なCDNを使えるからです。もし、この判決によって大手のCDNが使えなくなれば、彼らの運用コストは跳ね上がります。換金性が悪くなり、ビジネスとして割に合わなくなる。つまり、直接的に逮捕しなくても、経済的な兵糧攻めで「いい感じに持続可能性を下げる」ことができるわけです。

しかし、ここで思考は一つの壁にぶつかります。では、彼らは消滅するのでしょうか。おそらく答えは否です。水は低いところへ流れるように、彼らは規制の緩い場所、例えば中国系のクラウドサービスなどへ「サーバー移転」をするだけでしょう。

ここで浮かび上がってくるのが、「オプトイン」と「オプトアウト」という仕組みのジレンマです。

オプトアウトの拡張性と、オプトインの潔癖性 ⚖️

世界的に成功しているデジタルサービスの多くは、「オプトアウト」方式を採用しています。つまり、「基本的には誰でも使っていいですよ。問題が起きたら後で止めます」というスタンスです。この方式の最大の利点は、爆発的なスケーラビリティ(拡張性)です。いちいち審査をしないので、利用者は無限に増え、サービスは急速に巨大化します。

一方で、今回の判決が求めているような、あるいは日本企業が好みごちなのは「オプトイン」方式です。「使う前に審査します。安全だとわかったら通します」というやり方です。これなら確かに海賊版は入り込めません。品質も治安も保たれます。しかし、その代償として、サービスは決してスケールしません。すべての利用者を人力で審査していたら、ビジネスのスピードは著しく低下するからです。

ここで一つの残酷な真実に気づきます。生産性の向上やビジネスの拡大というのは、実は「技術の進歩」だけで成し遂げられているわけではないのかもしれません。むしろ、「面倒なコストを誰に押し付けるか」という座組[^2]の設計によって決まっている側面が強いのです。

オプトアウト方式は、事前審査というコストを放棄する代わりに、そのリスク(海賊版やスパム、誹謗中傷など)を利用者や被害者に押し付けています。「何かあったら報告してね」というわけです。事業者はコストを負担せず、利益だけを享受できる。だから生産性が高く見えるのです。

逆に、オプトイン方式を選びがちな日本社会は、そのコストをすべて「内部」で引き受けようとします。「お客様に迷惑をかけてはいけない」「変なものを流してはいけない」という善意と責任感から、膨大なチェック作業を自社の社員に課します。結果として、社員は疲弊し、生産性は上がらず、給料も増えない。

これは単なる能力の問題ではなく、「誰がコストを払うか」というゲームのルールの違いに過ぎないのではないか。そう考えると、日本の労働生産性が先進国の中で低い理由が、少し違った角度から見えてきます。

真面目さが生む低生産性の正体 🇯🇵

日本の現場では、あらゆる場面で「完璧」が求められます。システムの導入、取引先の選定、採用活動。すべてにおいて石橋を叩いて渡るような事前審査(オプトイン)が行われます。

例えば、海外の企業が「とりあえずやってみて、ダメなら変えよう」と走り出すのに対し、日本企業は「失敗しないための会議」に膨大な時間を費やします。これは一見、品質へのこだわりに見えますが、構造的に見れば「リスクの内部化」です。

海外のグローバル企業、特にテックジャイアントたちは、このコストの押し付け方が非常に巧みです。カスタマーサポートは人件費の安い国へアウトソーシングし、コンテンツの監視はAIやユーザー通報に頼る。自社の社員は、最も付加価値の高い業務にだけ集中する。彼らの高い生産性は、ある意味で「面倒な仕事を他者に投げ捨てる」ことによって成立しています。

対して日本は、その「面倒な仕事」を投げ捨てることができません。下請けに投げるにしても、品質管理のために詳細な仕様書を書き、頻繁に進捗を確認し、結局は自分たちも一緒に汗をかいてしまう。この「真面目さ」こそが、皮肉にも生産性の向上を阻害している最大の要因ではないかと思えてきます。

技術がないわけではない。能力が低いわけでもない。ただ、「コストを他人に押し付けるのは申し訳ない」という文化的なブレーキが、効率化へのアクセルを緩めさせているのです。

観光客という名の「オプトアウト」利用者 ⛩️

この「コストの押し付け合い」という視点を持って、今度はデジタルの世界から現実の街角へと視線を移してみましょう。近年問題となっている「オーバーツーリズム(観光公害)」も、驚くほど同じ構造をしていることに気づきます。

観光客というのは、究極の「オプトアウト」利用者です。彼らは自分の好きな時に来て、好きな場所へ行き、体験という果実だけを享受して、ゴミや騒音というコストを現地に残して去っていきます。彼らにとって、その土地は一時的な消費対象であり、生活の場ではありません。

一方で、観光地に住む住民たちは、強制的な「オプトイン」状態に置かれています。彼らは観光客を選ぶことができません。「今日は静かに暮らしたいから来ないでくれ」と拒否する権利(オプトアウト権)を持っていないのです。

ここで発生している摩擦は、単なるマナーの問題ではありません。利益(観光収入)を得る人と、コスト(生活環境の悪化)を負担する人が、完全に分離しているという構造的な欠陥です。

多くの場合、観光客が増えて喜ぶのは観光業界や自治体の税収部門です。しかし、そのための混雑や騒音を引き受けるのは、観光とは無関係の一般住民です。今の対策の多くは「マナー啓発」や「ごみの持ち帰り呼びかけ」など、観光客の善意に期待するものばかりですが、これは本質的な解決にはなりません。なぜなら、観光客は「コストを払わなくていい」という特権(オプトアウト)を行使しに来ているからです。

もし、この問題を本気で解決しようとするなら、住民側に何らかの「拒否権」や、あるいは観光客から徴収した利益を直接住民に還元するような、コストと利益の再分配システムが必要です。しかし、日本の「おもてなし」文化や、「来る人を拒んではいけない」という空気感が、そのようなドライな解決策を阻んでいるようにも見えます。

報われない構造からの脱却へ 🧩

海賊版サイトへのCDN提供、日本企業の低生産性、そして観光地の悲鳴。これらは一見バラバラな事象ですが、その根底には共通して「コストの所在」と「参加の仕組み(オプトイン・オプトアウト)」の不均衡が横たわっています。

私たちは往々にして、問題が起きると「もっと努力しよう」「もっと技術を高めよう」「マナーを守ろう」と、個人の資質や道徳に解決を求めがちです。しかし、いくら個々の歯車が優秀でも、歯車同士の噛み合わせ(座組)が間違っていれば、車は前に進みません。むしろ、真面目に回れば回るほど、摩耗して疲弊していくだけです。

生産性を上げるとは、単に速く動くことではありません。「誰が何を引き受けるか」という設計図を書き直すことです。時には「これは私たちの仕事ではない」と線を引き、時には「そのコストはあなたが払うべきだ」と請求書を回す。

真面目な人たちが報われないのは、彼らが無能だからではなく、損な役回りを引き受け続けるシステムの中にいるからです。私たちが次に向き合うべきは、個人のスキルアップではなく、この社会全体の「コスト負担のアーキテクチャ」の再設計なのかもしれません。

そう考えてみると、冒頭の裁判所の判決も、単なる罰則以上に大きな意味を持って見えてきます。それは、「ただ土管を提供しているだけだ」とコスト負担から逃げていた存在に対し、「いや、あなたもその重さを背負いなさい」と、座組の変更を迫る第一歩だったのかもしれません。

[^1]: **CDN (Content Delivery Network)**: インターネット上でコンテンツ(画像や動画など)を高速かつ効率的に配信するためのネットワークシステム。

[^2]: **座組(ざぐみ)**: プロジェクトや事業を行う際の、メンバー構成や役割分担、協力体制の枠組みのこと。ここでは社会的なコスト負担の構造を指す。


メイキング

今回の話は以下の試みが含まれてます。

  • gemini 3.0の利用してみる

  • 思考の備忘録としての自分用のdumpを超えて形態を定義してみる

作り方はいつもと変わらずx/twitterの投稿からgrokで対話しそれをai studioに持ってきての文章の作成です。

もちろんこの話の冒頭は地裁でcloudflareが幇助のため賠償金を払う判決が出たという話から始まってます。あと正確に言えばオプトインにせよという話ではなく、つまり自前で定期的に監視し削除せよという話ではなく、再三の削除要求に対し無視を決め込んだことが幇助の原因となったみたいですね(他の事業者はわりと対応してくれていた)。

というわけで以下のような投稿をしました。

投稿者: podhmo

cloudflareの話、海賊版がCDNを使えないなら換金性も悪くなりペイするためのラインが上がりいい感じに持続可能性が下がるじゃんという気持ちもある。

忘れ去られる権利で消す話があるならcacheのinvalidateも良い気もするし、ツールに責任はなくてもサービスの事業体に責任を求めたって良い気もする。

投稿者: podhmo

まぁでも実際のところalibaba cloudとかのcdnとか使ったりしそう。

投稿者: podhmo

この種の話、オプトアウト的に対応しようとするならスケールするけどオプトイン的に対応する必要があるとスケールしないみたいな話がありそう。

まぁ生成aiとかの悪意のある利用とかの話にもつながるのですが、サービスの利用の換金性は形態としてオプトアウトの形をとるなら自動化できるが公の場に何らかの悪影響は表出することになり事後的な対応になるということでもあるし、監視責任を外部の利用者以外に押し付けるということでもあるという話です。これを元に雑にgrokとの対話をして、そもそも日本の低生産性みたいな話は生産性(進捗)ではなく生産性(金銭)で捉えるべきで、それって結局のところは構造の問題だよね。みたいな話をしてました。分かりやすい実例はオーバーツーリズムかなとおもったりしてました。特に利益を享受する母体と労力を提供する母体が必ずしも重ならないところがネックです。そうそう最後までオプトアウトとアウトソーシングなどによるコストダウンの区別をgrok君はしてくれなかったようでした。検索をしてくれるので簡易な検索エンジンラッパーとしては強いですが微細な語感を気にしてくれなかったりしますね。grok君は。

とまぁそんな感じの雑談をしつつ、いつもの思考の備忘録のプロンプトを出力してみたのです。これがgemini-3.0になって出力がさらに口当たりが良い感じに滑らかになり特殊な表現での「それはxxxです」みたいな比喩のごり押しで終わらせることが減ったような気がしました。

そして今回はいつもと異なりカスタマイズの条件を付けてみることにしました。

# カスタマイズ

- writing style, 論評というよりはどのようになるか?という思索の様な文調で

- autor profile, 複数の物事の共通点や相反するものが併存するメカニズムに興味を持つ存在

- target reader, 物事をそのまま素直に受け取る人。捻くれてない人。日々のニュースをまじめに読んだりする人

- 読後感, みんな真面目にやってて報われないことはあるしどちらかというと構造的な話。座組が悪い。生産性と能力との間から一歩引いてみて考えてみると良いかも。

最近は、一歩進んで備忘録という形にも飽きてきてもう少し別の形態への文章の転写をやってみようということを試行錯誤してます。その1つが圧縮された表現から開いた文章(漢字をひらくに類似)の作成があります。この過程でおおよそ4つないしはプロットも入れると5つのパラメーターを入れないと制御不可能になるなという感覚があります。どのように制御不可能になるかというと文章をひらくとは有り体に言えば記事を分割するということになるのですがその過程で意図が壊され特定のどこかで見たような文章を構成されてしまうという感じでした。つまりプロットではなくモチーフとして利用されてしまうのです。LLMの回答とは点を線で均して繋ぐ行為に近いので備忘録のような書かれたものをそのまま畳む形式ではない場合にはある程度のパラメーターの指定が必要になります。

このパラメーターの指定を今回はやってみたという感じでした。今回は備忘録も兼ねてるのでプロット的なものは省略です。

参考

こちらにカスタマイズ無しのバージョンと一つ前のモデル(gemini-2.5-pro)でやってみたバージョンも載せてます

https://gist.github.com/podhmo/40a663c3c138986d6a69a008f11059a5

追記

この記事に対する反応を考えてもらいました。わりといい感じですね。

これに対する別の立場からのアンサーソングないしはトラックバックを考えてみてください。どのような立場からのどのような文章になるでしょう?箇条書きでいくつか挙げてください。自信度も併記してください。

https://gist.github.com/podhmo/40a663c3c138986d6a69a008f11059a5?permalink_comment_id=5871626#gistcomment-5871626