SF小説とかに出てきそうな会話の一部みたいなそれっぽいそれの生成

podhmo
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公開:2025/5/10

(過度に歪ませたキャラクターを作り、場を整えた後に会話のリレーをさせながら気になる部分を補足しつつ再生成を繰り返したらようやくできた。メイキングは後に)

登場人物

  • アキ:30歳。AIや統計に詳しいが、やや内向的で独り言が多い。今回の「圧縮表現」の発言者。

  • ハルト:28歳。アキの弟。現実的でサバサバした性格。姉の専門的な話にはあまり興味がないが、姉弟なのでなんだかんだ付き合ってくれる。

アキが最近使った特定のAIチャットボットとの「ある一回の会話」について、ふと感想を漏らしたところから物語が始まる。

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残響と諦観と

窓の外は、いつものように騒がしい夕暮れの音が満ちていた。私はタブレットの画面から顔を上げ、小さく息を吐いた。つい先ほどまで対話をしていたAIチャットボットの、そつのない、けれどどこか空虚な言葉の羅列が、まだ頭の中にぼんやりと残っている。

「…ふぅ、今回のこれは…**最尤推定の隘路(あいろ)に嵌(はま)った、典型系列の反芻(はんすう)**ね。結局のところ、**学習済みパラメータの残響**でしかないわ」

呟いた言葉は、誰に聞かせるでもなく、ただ部屋の空気に溶けていくはずだった。けれど、ソファの定位置でゲームに没頭しているはずの弟、ハルトの耳には届いてしまったらしい。

「…ん? 姉ちゃん、またなんか難しいこと言ってんの? 隘路って…道に迷った?」

コントローラーを握ったまま、ハルトは画面に視線を注いだまま尋ねてくる。彼のこういう、私の言葉の表層だけを拾って、頓珍漢な解釈をするところには慣れっこだ。

「いえ、迷ったとかじゃなくて…」私は言葉を探した。あのAIとのやり取りで感じた、なんとも名状しがたい感覚を、どうにか正確に表現したい。でも、それはいつも難しい。「その、さっきのAIとのやり取りが、なんていうか、**ボルツマン分布の低エネルギー状態に落ち着いた**、というか…」

「ボルツマン? 低エネルギー? 姉ちゃん、今日疲れてんの? ちゃんと飯食えよ」

ハルトは、ようやくこちらに顔を向けた。その目には、純粋な心配と、ほんの少しの「また姉の変な話が始まった」という諦めが浮かんでいる。ああ、まただ。私の言葉は、いつもこうして家族にすら正確には伝わらない。

「いや、体調の話じゃないの。AIよ、AI」私は少し焦りながら説明を試みる。「その、会話がね、**確率モデルが予測する最もありふれた経路をなぞっているだけで、意外性はないけど、まあ、それがこのモデルの自然な振る舞いなんでしょうね、って感じ**で…」

「あー、はいはい、AIね」ハルトはあっさりと頷いた。「つまり、**AIの返事がベタすぎて面白くなかったけど、まあAIだしそんなもんかって思った**ってこと?」

彼の言葉は、私の複雑な思考を驚くほど単純化してしまう。けれど、不思議なことに、その単純化された言葉は、的外れというわけでもないのだ。

「うーん、まあ、大筋はそうなんだけど…『面白くない』と一言で片付けちゃうのも、少し違うのよね」私は食い下がる。私の感じた、あの微妙なニュアンスを、彼にも分かってほしい、なんていうのは贅沢だろうか。「なんていうか、**想定内の範囲で、無難にまとまっているけど、それ以上の感動も発見もない、みたいな…一種の納得感はある**の」

「ふーん」ハルトはコントローラーを膝に置いた。「じゃあ、**AIが当たり障りのない、誰でも思いつくような返事してきたけど、別に間違っちゃいないし、AIってそういうもんだよねって納得した**、ってこと?」

私は、彼の言葉の中に、自分の感覚と重なる部分を見つけて、少しだけ表情が和らぐのを感じた。「…うん、そんな感じ! それで、その『AIってそういうもの』っていうのが、結局、**学習データの中で最も頻出するパターンをなぞっているだけ**なんだなって、後から思ったのよ」

「あ、そう」ハルトは納得したように頷いた。「**AIが、みんながよく言うようなこと言ってきただけ**って話ね。やっと理解した」

彼の「やっと理解した」という言葉に、私は微かな安堵を覚えた。通じた、のだろうか。私のあの、専門用語の殻に閉じこもったような感想が、少しは。

でも、ハルトの探求はそこで終わらなかった。

「で、姉ちゃん。最初の『さいゆうすいていのあいろが~』ってやつ、あれ、一体何だったんだ? 今の『AIがみんながよく言うこと言ってきた』って話と、どう繋がるんだよ」

私は少し戸惑いながらも、自分の言葉を解きほぐし始めた。まるで、絡まった糸を一本ずつ丁寧にほどくように。

「あ、あれね…。ええと、『最尤推定の隘路に嵌った』っていうのは、AIが統計的に一番『もっともらしい』答えを選んでしまうと、それ以外の可能性が狭まってしまう、その袋小路みたいな状態を言いたくて…」

「はいはい、『もっともらしい答えを選んじゃうと他の答えが出にくい』ね。で、『典型系列の反芻』は?」

「『典型系列』っていうのは、情報理論で、ある情報源から出てくる確率の高い、ありふれたパターンのことで、『反芻』って言ったのは、そのありふれたパターンを何度も繰り返している感じを表したくて…。だから、**一番よくあるパターンの繰り返しに過ぎない感じ**ってことかしら」

「なるほどなー。『学習済みパラメータの残響』ってのは?」

「それは、AIの答えが、結局は学習した時のデータや設定(パラメータ)の影響を色濃く受けていて、その影響がいつまでも響いているだけ、って感じがしたから…つまり、**AIの答えが、作られた時の設計の範囲を出てないように感じた**ってこと」

「ふーん。じゃあ、次の『ボルツマン分布の低エネルギー状態に落ち着いた』ってのは?」

「『ボルツマン分布』は物理とかで使うんだけど、物が一番安定した状態に落ち着きやすいって話で、『低エネルギー状態』は、まあその一番安定した、変化の少ない状態のこと。つまり、**AIの答えが、一番無難で変化のないところに落ち着いちゃった**、みたいな感じ」

「で、その次の『確率モデルが予測する最もありふれた経路をなぞっているだけで、意外性はないけど、まあ、それがこのモデルの自然な振る舞いなんでしょうね』ってのは、俺がさっき言った『**AIの返事がベタすぎて面白くないけど、AIだしそんなもんか**』で合ってたわけだ」

ハルトの言葉は、私の思考の迷路を抜け出すための、無骨だが確かな道しるべのようだった。一つ一つの言葉が、彼の理解というフィルターを通して、より一般的な形に整えられていく。それは少しだけ寂しい気もしたが、同時に、誰かに理解されるというのはこういうことなのかもしれない、とも思った。

「…ええ、まあ、そうね」私は力なく頷いた。

すると、ハルトはコントローラーを完全に床に置き、少し呆れたような、でもどこか親愛の情も滲むような顔で私を見た。

「姉ちゃんさあ…。結局、**『AIとの今回の会話、ありきたりで面白くなかったけど、まあAIなんてそんなもんだよね。学習データの一番多いパターン繰り返してるだけだし、仕方ないか』**って言いたかっただけだろ?」

彼のその言葉は、あまりにも的確で、そしてあまりにも単純だった。私の頭の中で渦巻いていた、あの複雑で、どこか詩的ですらあると感じていた思考の断片が、一瞬にして日常の言葉へと還元されてしまった。

私は俯いた。「…うん。そう、要約すると、そうなるわね」

「最初からそう言えって! 姉ちゃん、もうちょっとさ、**普通の人にも分かるように話す練習した方がいいんじゃない? コミュニケーション、社会生活の基本だぜ!**」

ハルトの言葉は、正論だった。ぐうの音も出ない。私の最も欠損のないであろう理解を取りこぼさないように掬い上げようという試みや、それを表現しようとする言葉は、この現実的で、もっと直接的なコミュニケーションが求められる世界では、ただの分かりにくい独り言に過ぎないのかもしれない。

私はさらに俯いて、消え入りそうな声で呟いた。「…はい。コミュニケーション…努力します…」

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そのしょんぼりした姿を見ると、ちょっと言い過ぎたかな、とも思う。でもまあ、これも姉のためだ。多分。

俺はコントローラーを拾い上げ、再びゲームの世界へと意識を戻した。ボス戦の続きが待っている。姉ちゃんの難解な言葉より、こっちのモンスターの方がよっぽど分かりやすいぜ。


小説風にすることで、アキの心情や、ハルトとの関係性が少しでも伝われば幸いです。彼女の知的な探求心と、コミュニケーションの難しさの間で揺れる様子を描写してみました。


メイキング

基本的な手順はいつもと同じ。以下のようなことをする。

  • grokとの対話をする

  • 対話履歴をgeminiに食わせる

  • geminiを使って最終成果物としての文章を生成する

  • (今回は少しだけ文章をいじった)

対話履歴の作成

grokと会話しめちゃくちゃ細かい指摘をした対話履歴を作った。

具体的に言うと、「あるaiとの対話について「あ〜尤度〜」というような感想がついた。言い換えをして」みたいな雑なフリではじめてあーでもないこーでもないみたいなコメントを付けて対話履歴を伸ばした。

例えばgrokが途中で以下のような案を出すんだけど、

「モード付近を的確にサンプリングしてる!」が、LLMのトークン予測メカニズムと投稿者の「平均的・典型的」な感覚を最も適切に橋渡しします。

こういうすごい細い注文をつけた。

なんとなくモヤッとするのはサンプリングしているだとある期待があってそれにそえてたみたいな感覚があります。つまりよくできてると言うような感覚を持ちます。

しかしどちらかというと、その状況を観察ないしは発見して振り返ってみてなるほどそつなくまとまってるけれど…だめというわけじゃないが…みたいなニュアンスとあーでもそうなるのが自然かーと納得感もあるような感覚ですね。それを表現したいです

そして以下のような注文をつけた(どうやら自分程度だと少し知ってる程度の知識の装飾だったらしい)。よりマニアックな表現に寄せてみることにした。

投稿者の「少し知ってる」知識(統計やAIの初級~中級)に響き、知的で洗練された響き。

これはすごくよく知ってる上級者でわかる人にだけ分かれば良いだとどうなりますか?

geminiを評価者として読ませる

はじめはけっこう普通のプロンプト。以下のようなプロンプトで対話履歴を読み込ませた。

これはgrokと私の対話です。あなたはセカンドオピニオン的な統計学者の立場です。

このgrokの数々の対応はどれくらい真実味がありますか?あるいはどれくらいチグハグですか?

そしてあなたならどのような回答をしますか?とかで履歴を溜めていく。

専門性(ここではaiや統計)を上げるという命令は何処かのタイミングで理系的な表現をつかうに切り替わっていた気がする。この辺の語彙をまじめに制御しようとすると大変かも。まぁとりあえず会話をした。

幾つか例を出させた後、こういうプロンプトを与えて歪める。ちょっと跳躍のあるような表現が手に入る。

もう自分にだけわかればいいやと振り切った場合はどうなりますか?つまり独り言や日記に書けるということです

このあとは文章の作成に入る。

文章の作成

今回はプロットを作らず小説を書かせた。テキトーに作ってみてと言ってから気になる部分を付け足し付け足しで骨格を作っていった。

先ほどの歪めた表現のペルソナを聞く。

面白いですね。それぞれの表現を考えたときのあなたのペルソナはどのようなものだったのですか?つまりそのペルソナは冒頭のロールにあわせるなら〜な統計学者という感じの説明になるんでしょうか

そしてテキトーに2人で会話をさせてみることにした。せっかくだし歪んだ表現をそのまま使ってみての意思疎通の困難さをストーリー仕立てにして描写させてみようという感じで。配役を用意したら舞台は自分で考えて用意する必要はありそう。

今度は孤独な存在であった(と仮にします)ペルソナが自分に閉じた圧縮した表現を使って口に出してしまい、もちろん聞き手である相手には理解できず、徐々に不器用ながらも寄り添った表現にしていくような会話のリレーがみたいです。

そして思うものと違うというところを矯正していくような感じの気持ちで補足事項を書いていきながらで何度も何度も再生成を繰り返す。

最終的には以下のようなプロンプトになった。

今度は孤独な存在であった(と仮にします)ペルソナが自分に閉じた圧縮した表現を使って口に出してしまい、もちろん聞き手である相手には理解できず、徐々に不器用ながらも寄り添った表現にしていくような会話のリレーがみたいです。そして最後にどうにかこうにか通じるまでが前半で後半は逆に最初に発した言葉を丁寧に逐一一般的な表現に直されていくリレーが展開されます。最後に完全な一般的な表現に直されてコミュニケーションを学びましょうと言われて落ち込むのが話のオチです。

あと今まで話した伝えたかった表現はaiそれ自体への評価ではなく数あるうちの一回その回の会話だけに対しての表現の方がいいかもしれません。

聞き手はこの自分を尊敬してるわけではない感じが良いですね。つまり褒める言葉はないほうが面白そうです。そうですね年下の血縁関係くらいにしておきましょう。年は近い感じで良いです。最大でも5歳差くらい。

これで生成されたのはト書きのような文章だった。これはこれで面白かったのだけどせっかくなので小説化してみることにした(本当は性別反転などもう少し紆余曲折はある)。

ト書きっぽい。今度は小説化することはできる?アキの一人称の小説。

そしてなんとなく終わり側に別の視点も取り入れたかったので逆側の視点での描写も用意させた

今度は逆の立場の一人称で

そして作られた文章を繋ぎ合わせて冒頭の小説擬きができた。

チョットした書き換え

なんとなく気に入らない表現は書き換えたりした。

終わりの文章が以下のような感じだった。

ハルトの言葉は、正論だった。ぐうの音も出ない。私の専門的な知識や、それを表現しようとする言葉は、この現実的で、もっと直接的なコミュニケーションが求められる世界では、ただの分かりにくい独り言に過ぎないのかもしれない。

「いや、専門的な知識じゃないんだよなー」ということでちょっとくどい感じではあるけれど「最も欠損のないであろう理解を取りこぼさないように掬い上げようという試みや」みたいな感じに書き換えた。元々ビシッとそれそのものについて表現してる訳ではない感じだし。

以下のようになった。

ハルトの言葉は、正論だった。ぐうの音も出ない。私の最も欠損のないであろう理解を取りこぼさないように掬い上げようという試みや、それを表現しようとする言葉は、この現実的で、もっと直接的なコミュニケーションが求められる世界では、ただの分かりにくい独り言に過ぎないのかもしれない。

本当はこういう気遣いが細々と必要になるのかもしれない。わりとこだわり始めると随所に気になるところが出てくる。

そしてこんな感じでテキトーな小説擬きを作ってみて、絵筆としてのai執筆は普通に文を書くのが線画のそれだとしたら水彩画や油絵みたいな感じのものなのかもしれないと思ったりもした。

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