映画館に入ると、夜明け色のスクリーンがみえて、これからはじまる物語にわくわくした。
舞台挨拶▼
扉がひらいてきみがでてきて、息を止めてしまった。そのきれいな頭を下げたとき、大きく息を吸った。いきてる、そう思った。
いきなり最後の挨拶の話をするけれど、きみは「この映画から、無理してなにかを感じ取る必要も、この舞台挨拶で発された言葉を、無理して思い出す必要もない」という趣旨のことばを言った。このひとのこういうところがすきで、だからわたしはずっと、おぼえている。
お気に入りのシーン→序盤、山添くんと藤沢さんの出会いのシーン。シュークリームを渡す、印象的な場面。
山添くんとの共通点→何気なく言った言葉を“勘違い”(「この表現が適切かどうかはわからない」)されてしまうことがあること。顔だとか、そういう自分にはどうにもならないことで、人にジャッジされてしまうところは共感できる
この「顔」のはなしがでてきたとき、きみがもつグループアイドルの片鱗がみえて興奮した。顔で印象、ファンダム、すきになってもらえるかもしれない、ということが決まる世界に生きているひとだからこその、感情な気がした。
じっとみつめていると、なんだかひさしぶりに きみのかおの造形を、しかと知ったような感覚がした。聴覚優位な人間だから、視覚の情報はじぶんから集中しないと得られない。えらの張った輪郭、うつくしい黒目と、つややかなほお、ふっくらと弧をえがく唇が、ゆめみたいだった。
本編▼
・とにかくしずか〜に、わたしたちの生活のようなリズムですすんでいく、けれどテンポは意外と軽快な、そういう映画。女性として藤沢さんのさいしょのシーンは、あまり人ごとにかんじなくて、つらかった。
・髪を切るまでの山添くんは、いつも苦しくて顔色がわるくて、精神が傷ましかった。言葉のスピードもとげとげしい。
・髪を切るシーンは、かなりの好きシーン。あの大笑いする山添くんは予想の100倍きみだった。「えっへっへっへ」あれYouTubeできけるよ
・ロンドンに行った彼女との噛み合わなさは、すごくよかったとおもう。パニック障害で徹底的に人生がかわってしまった、その打ちのめされ度をわかりやすくしてくれる。精神科のシーンきつかったな…
・きみの演技はすばらしくて、もう「良い演技するアイドル‼️」とかの域でもなくて、ふつうに俳優でよかった。そつのないうごきをするなあ、と。
・映画に関係ないけど、自転車に乗ってるときのくちびるが、へにょへにょしててすきでした。やまぞえくん、なつくと保護対象すぎる。
・放送部の子たちよかったな…わたしも放送部なので、非常に解像度たかくみていました 三宅監督が撮った「栗田科学のドキュメンタリー」な気がしてこなくもない
・まわりの人間が、ほどよくやさしくてほどよく無関心で、ほどよくみんなそれぞれ大変で、傷があって、温度感がすてきだった。あと、この世界で子どもがどれだけ希望なのか、っておもった
・社長の弟の「夜についてのメモ」、これだけのことをして自死をえらんだひとであるっていうのが、希望と絶望をふたりにあたえる気がするね
・「北斗七星」ときみがいうのは、運命的にしかおもえなくて、このせかいに愛されているなあとおもう。