まずは大きな、大きな拍手を。
穏やかに、しかし同じ日はない、世界は移り変わってゆく。地球が自転をくりかえし、季節がうつろい、植物は枯れてまた生い茂り、星ははるか遠くで光り、夜のつぎは、また朝がやってくる。ひとは日ごとに老いてゆき、感じ思うことはいつもちがう。
何万光年前の光をはなつ星、宇宙に比べてじぶんはちっぽけな存在だとおもった、っていう普遍的な言葉がいちばんに思い浮かんで、だけどそれはわたしたちがいつも忘れてしまう真実なのだ。
大きな時のながれのなかの、人々の粒子のつながり、こころがふれあった数瞬間を、ていねいに、うつくしく、しかし実直に拾い上げている映画だとおもった。
星を見上げたとき、ひとはだれのことをおもうのか。いまが苦しくて、夜明けを待つあなたのために、祈っているひとは必ずいる。だけどこの世界はうごいていて、祈りに関係なく、朝はやってくるのだ。地球が自転し、季節がうつろい、星が光り、わたしたちが息をしていること。
「夜明けのすべて」